【女子バレー】なぜアジア選手権でタイに敗れたのか 「迷惑をかけた」と涙する選手、一方のタイは「日本対策はやっていない」 (4ページ目)
優勝を目標にやってきた。勝たないといけなかった。
口々に発するその言葉から、選手たちがどれだけの責任とプレッシャーを背負っていたのか。現地で取材するなかで十分に伝わってきた。
【優勝したタイ代表が見せた前向きな姿】
一方で、対照的だったのがタイ代表だ。
日本に準決勝で勝利し、翌日の中国との決勝では、第1セットを先取したあとに2セットを連取されたが、フルセットの末に逆転勝利した。同国初の五輪出場を決めただけでなく、同国女子の団体球技としては初の五輪出場という快挙を成し遂げた。
世界ランキングでタイを上回り、対戦成績でもタイにとって分の悪い日本、中国に対し、どんな対策を練ってきたのか。勝利直後、タイ代表のアシスタントコーチ、吉田伸氏が取材に応じた。昨季まで日本代表のスタッフを務めた吉田氏が明かしたのは意外な真実だった。
「日本対策や中国対策は一切やっていないんです。予選ラウンドからひとつずつ、まずはこの試合、勝ったら、次はこの試合、と目の前の試合に向けてやってきただけ。タイの国民性もありますが、たとえ過去の成績がよくなくても、今、このセットを取られて追い込まれていたとしても、次、次と切り替えられる。
日本戦の前も、もちろん戦術的な面はありますが、『おそらく我々に対してこうしてくるだろうから、自分たちはこうしよう』というだけ。スタッフ陣が一方的に出すのではなく、選手も含め、みんなでコミュニケーションを取ってきたことが、コート上でも力を発揮することにつながりました」
最後まで笑顔を絶やさなかった勝者を見ていたら、願わずにいられない。日本代表の選手たちも、どうか背負いすぎることなく、自身のやるべきことも「やらなきゃならない」と重荷にするのではなく、「やってみよう」と明るくチャレンジできるような環境で成長し続けてほしい、と。
アジア選手権ではロサンゼルス五輪出場権を獲得できなかったが、もうそれも過去のことで、結果は変わらない。そして、ロサンゼルス五輪出場の可能性が潰えたわけではない。
来年のワールドカップ出場は決まった。ここからはまた、未来へ向けて進んでいくだけだ。次は涙ではなく笑顔で、「やりきった」と胸を張る姿を見せてほしい。
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