【女子バレー】和田由紀子の涙が象徴する一丸となっての戦い それでも日本代表が敗れた理由 (3ページ目)
粘り強いディフェンスで、相手の心を消耗させる。じっくりと攻めながら、戦機をうかがう。そして、多彩な攻撃を誇るアタッカーが希望を砕く。そのサイクルこそ、日本の勝ち筋と言えるだろう。
しかし皮肉にも、勝利のパターンを見つけたからこそ、隙が出たのではないか。
日本の選手たちがタイを侮ったとは思えない。しかし、ほとんどの日本のファンやメディアが「中国との決戦」にフォーカスしていたのは確かだ。日本戦に乾坤一擲で挑んできたタイと比べると、コートに立つ選手だけでなく、日本全体に油断があったのかもしれない。それが勝負のなかで動揺を増幅させ、浮足立ち、取り戻せないほどのミスを積み上げてしまったのではないか。
日本は実はアタック数だけではポイントでタイを上回っている。一方、ミスによる失点は28点と多く、これはタイのミスによる失点の倍だった。やはり、自滅した形だ。
8月30日、日本はイランとの3位決定戦に挑む。ロス五輪への道が閉ざされたわけではない(各大陸女王のほか、すでに出場を決めている国を除いて2027年のワールドカップでの上位3チーム、2028年のネーションズリーグ予選ラウンド終了時の世界ランキング上位3チームが出場権を獲得)。敗北を糧に、再起をかけた一戦になるはずだ。
著者プロフィール

小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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