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「素人」だった山内晶大は、高校3年で初めて夏合宿を体験 練習がきつくて「お茶でおにぎりを流し込んだ」 (3ページ目)

  • 坂口功将●取材・文 text by Kosuke Sakaguchi

【青春満載の夏休みを送ってほしい】

 周りについていくだけで必死だった日々。「『高校に戻りたい』とか『自チームのゆるさがほしい』とか思う余裕すらなかったのかもしれません」と山内はほほえむが、そこで過ごした時間そのものが、その後のキャリアを形成する土壌となったのは確かだ。

 山内は「あの高校3年目の夏から、バレーボールを本格的にやり出した──と言えると思います」と語る。そこにあったのは、中学生の頃にバスケットボール部で覚えた「やらされていた」感覚ではなく、バレーボールを「やりたい」、それこそ「もっともっとうまくなりたい」という高揚感だった。

 トッププレーヤーになった今、あらためて山内は学生たちに、こんなエールを送る。

「今の僕の立場からすれば、『とにかく一生懸命に競技に励んで、スキルアップして、自分のチームでいい結果を残せるようになろう』と言うべきかもしれません。

 ただ、それはもちろん必要ですが、かといって、やらされているだけのバレーボールはしてほしくないとは思います。楽しくなければ、たとえ部活であっても行きたくなくなるでしょう? それに楽しさがあれば、向上心も生まれてきます。ただこなしているだけの練習だと、上達もしませんからね」

 山内の場合はある意味、身を置く場所を変えられたことで、競技への取り組み方そのものも変化した。けれども、そこに至るまでの穏やかだった日々を否定することはない。

「高校の部活動は、その時の自分にはおそらく適していました。急にきつい練習をバレーボールでもやっていたら、もしかしたら嫌だと思っていたかもしれません。なので、いい頻度と練習量だったのかなと」

 高校生活で過ごした、3度の夏休み。1年目、2年目の夏と、3年目の夏は両極端だった。だからこそ、山内はにこりとしながら口にする。

「高校生活の3年間って、あっという間に過ぎてしまう。学生のみなさん、夏休みの使い方はバレーボールだけじゃないですよ(笑)。

 もちろん、どんどんうまくなって日本代表を目指してもらうのもすばらしいことですし、ぜひそうなってもらいたい。でも、学生らしく、お祭りに行ったり、友だちと遊んだりして、青春満載の夏休みを送ってほしいなと思いますね」

 ゆるくても、きつくても、その時にしか得られないものが、山内晶大の部活にはあった。

(了/文中敬称略)


【profile】
山内晶大(やまうち・あきひろ)
1993年11月30日生まれ、愛知県名古屋市出身。身長204cm、体重85kg。ポジション=ミドルブロッカー。名古屋市立工芸高でバレーボールを始め、愛知学院大3年時の2014年に日本代表デビュー。2016年にパナソニック パンサーズ(現・大阪ブルテオン)へ加入し、2021-22シーズンから4シーズン主将を務める。Vリーグのベスト6を3シーズン連続で受賞。オリンピックは東京大会、パリ大会に出場し、ネーションズリーグでは2023年に銅、2024年に銀メダルを獲得している。

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著者プロフィール

  • 坂口功将

    坂口功将 (さかぐち・こうすけ)

    1988年生まれ。兵庫県出身。関西学院大学時代に「スポーツを取材する」ことの虜になり、不動産会社を経て2016年春から日本文化出版(株)「月刊バレーボール」編集部で勤務。2023年末に独立し、バレーボールを中心に取材・執筆活動を行なう。小学生から大学生、国内外のクラブリーグにナショナルチームと幅広いカテゴリーを扱うほか、バレーボール関連の配信番組への出演やイタリア・セリエAの解説も務める。

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