【SVリーグ開幕】"変人速攻"を身上とする村山豪は東京GBへ、44歳のレジェンド・松本慶彦は地元へ帰還
前編>>>新天地を求めた日本代表セッター、大宅真樹と永露元稀がそれぞれの意気込みを語る
後編:SVリーグ2年目、新天地でスタートを切る注目選手たち
2シーズン目を迎えるSVリーグでは、プロ化への流れのなか、選手の移籍が活発になっている。日本代表の司令塔、関田誠大がジェイテクトSTINGS愛知からサントリーサンバーズ大阪へ移り、同じく日本代表のリベロ、小川智大もSTINGS愛知からサントリーに移籍するなど、スター選手の動向が開幕前から話題をさらっている。
そんななか、今年度、日本代表候補のひとりとしてバレーボールネーションズリーグに出場した村山豪も、移籍を決断したプレーヤーだ。STINGS愛知から東京グレートベアーズへと活躍の場を移した。
プレシーズンマッチで笑顔を見せる東京グレートベアーズのニューカマー、村山豪 photo by YUTAKA/AFLO SPORT
村山は語る。
「バレーボール選手としても、ひとりの人間としても、成長できると思い、グレートベアーズへの移籍を決めました」
身長は192㎝とミドルブロッカーとしては決して高いほうではないが、男子選手では珍しいワンレッグのスパイクや、東京GBのチームメイトの深津旭弘が「『ハイキュー!!』の〝変人速攻〟のようなスピード」と評した超高速クイックが魅力。出身地である東京でのホームゲームを、今から楽しみにしている。
「STINGS(愛知)の一員としてグレートベアーズと対戦していた頃から、どうしてこんなにグレベアの選手はプレーの幅が広いんだろうと不思議に思っていました。実際、STINGSのチームメートとも話していたくらいです。移籍して、実際に練習に参加してみて『こういう練習をしているから、引き出しがたくさんあるんだ!』と納得しました」
カスパー・ヴオリネン監督からは入団時に、「Open communication(意見交換すること)」、「Open Mind(心を開いて他を受け入れること)」、「Compete(競争すること)」という3つの約束を提案された。
「同時にサーブのバリエーションを増やしてほしいと言われたのですが、それこそが意見交換につながっているのかなと、僕は受け止めています。自分の速い攻撃に合わせるセッターの方は大変だと思うのですが、コンビに関しては合流してからずっと練習していて、プレシーズンマッチで戦ってみて、だいぶ完成していると感じました。開幕までにもっと詰めていければいいなと考えています」
東京GBには新外国籍選手のヤン・コザメルニクや大竹壱青、伊藤吏玖といったミドルブロッカーが在籍しているが、オポジットのバルトシュ・クレクのコンディションに不安が残るため、大竹をそこで起用する布陣も考えられる。村山が新チームに一日も早くフィットすることを、ファンも望んでいるに違いない。
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著者プロフィール
市川 忍 (いちかわ・しのぶ)
スポーツライター、編集者。神奈川県川崎市出身。日本エディタースクール夜間部卒業。『Sportiva』(集英社)、『Number』、『NumberWeb』(文藝春秋)などで埼玉西武ライオンズを中心とした野球と、バレーボールのコラムを寄稿している。著書に、2008年のバレーボール男子日本代表の16年ぶりの五輪出場を追った『復活~全日本男子バレーボールチームの挑戦』(角川書店)がある。Xアカウント:@ichikawashino。

