関田誠大の不在で、ふたりのバレーボール男子日本代表セッターが繰り広げる「競争」と「協力」 (2ページ目)
【アルゼンチン戦では流れを変えた永露】
その堅実さは、むしろセールスポイントだろう。何より、コート上で高さは汎用性が高い。日本トップレベルのセッターになったのは必然だ。
ネーションズリーグでも、ドイツ戦は先発でストレート勝利に貢献している。
「スタートは硬さがあったし、自分もチームも、そこでひとりひとりが声掛けしていました。試合を通し、成長することができたと思います」
永露はそう言って、コートの中の景色を語っている。
「(ドイツ戦で最多得点だった宮浦には)シンプルで、複雑なこと言われず、こういう時はこういうパスって感じでやっていました。(特に2セット目以降は)ノリに乗っている選手だったし、準備もできていたので、バックライトに上げていましたね。チームとして乗れるために決めてくれたと思います」
アルゼンチン戦では先発の座を譲ったが、途中から出場し、劇的に流れを変えた。
「小川(智大)、永露の投入が流れを変え、宮浦(健人)が次々にスパイクを決めるようになった」
アルゼンチン代表で、2024-25シーズンはSVリーグの日本製鉄堺ブレイザーズで戦ったアウトサイドヒッター、ルシアノ・パロンスキーは大逆転で敗れた試合を振り返って、こう続けている。
「大宅はSVリーグ王者のセッターだったし、永露も強豪大阪ブルテオンでセッターをしていた。どちらも好きだし、能力の高いセッターだよ。自分はブレイザーズの選手として対戦したからよく知っている。日本を代表するセッターとして、関田が代表に戻ってきても、いい争いになるんじゃないかな」
アルゼンチン戦だけを見れば、永露が一歩リードか。
一方、大宅は実績では永露を上回っている。2023-24シーズンにはサントリーサンバーズ大阪で年間MVPを受賞し、2024-25シーズンはSVリーグ初代王者のセッターとして、ドミトリー・ムセルスキー、髙橋藍を巧みに操った。積極的でトリッキーなパス回しで、サイドを中心に、パイプ攻撃も得意とする。
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