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「石川祐希はファイナル4の主役だった」 現地紙記者がペルージャ欧州制覇までの道のりをレポート (2ページ目)

  • ダヴィデ・ロマーニ●文 text by Davide Romani(『ガゼッタ・デロ・スポルト』)
  • 利根川晶子●訳 translation by Tonegawa Akiko

【決勝のベストプレーヤーにも選出】

 ペルージャの優勝、それは"名将"と"チャンピオンたち"のチームワークの結晶だ。世界王者イタリア代表キャプテンで司令塔でもあるシモーネ・ジャンネッリ、ウクライナ出身の左利きアタッカーで、一瞬で試合の流れを変えられるオレフ・プロトニツキーなど、才能豊かな一流の選手たちが多く在籍。また、準決勝で15得点、決勝で22得点を挙げたオポジットのワシム・ベン・タラや、2017年から現在までのチームの全勝利に貢献した41歳のリベロ、マックス・コラチの存在も忘れてはならない。

 そして石川祐希。日本代表のキャプテンはファイナル4の主役だった。プレーオフでは目立った活躍ができず、ベンチに留まることも多かった石川だが、ポーランドのカミル・セメニュクが体調不良になり、再びスポットライトを浴びることとなった。

 石川はサーブレシーブで相手の集中攻撃を受けたが、守り抜くことに成功し、攻撃でも差をつける活躍を見せた。準決勝、決勝の2試合で39得点を挙げ、アタック決定率はそれぞれ59%と40%を記録。このパフォーマンスはイタリアのメディアはもちろん、大会運営側にも注目され、石川はキャプテンのジャンネッリと並んで決勝のベストプレーヤーにも選出されている。

 一方"名将"とはアンジェロ・ロレンツェッティ監督だ。61歳のロレンツェッティはその長いキャリアのなかで4つの異なるクラブ(モデナ、ピアチェンツァ、トレント、ペルージャ)を率い、5回リーグ優勝も成し遂げながら、ヨーロッパでの優勝は一度もなく、これまで4度決勝にたどり着きながらも敗れていた。つまり、これが5度目の挑戦であり、悲願のCL制覇となったわけだ。

 試合後、そのロレンツェッティ監督は「選手たちの粘り勝ちだ。彼らは順風の時だけではなく逆風の時の戦い方も知っている」と、述べている。

 優勝にはもうひとり、立役者がいる。それがジノ・シルチ会長だ。チームは彼の情熱なしにはここまでたどり着くことは不可能だっただろう。シルチ会長は、近年クラブに多大な投資をし、今、まさにその成果を収穫している。

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