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【ハイキュー‼×SVリーグ】ヴィクトリーナ姫路の伊藤麻緒が思う自分とチームの変化 烏養コーチ、武田先生の「歯車が噛み合ったら」に共感 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

 高校3年時にはVリーグからの誘いもあったが、勉学も続けたくて大学進学を選んだ。東海大では多くのタイトルを獲得した一方で、4年生になる頃には、やや燃え尽きかけていた。

「『バレーは大学でやめよう』と思っていました。4年時には春季リーグ、東日本インカレ、秋季リーグを制したあと、『全日本インカレも獲りたい』とは思っていたのですが疲れてしまって......。『4冠を達成してすっきりやめよう』と。正直、その先のことは考えられませんでした」

 伊藤は当時を振り返る。

「(実業団のチームに入って)やりきれるのかわからなかったし、中途半端は嫌だったんです。お金をいただいてプレーするわけですから、学生時代とは違う。でもヴィクトリーナには、アンダーからお世話になっている指導者の方がいて、声をかけてもらって『1回やってみよう』と気持ちが固まりました。

 それで欲も出たと思います。4冠がかかった最後の全日本インカレは、応援してくれる方もたくさんいました。勝った瞬間も気持ちよくて、『もっとこんな瞬間を経験したい』となったんだと思います」

 修羅を生き抜く、飽くなき渇望だ。

「SVリーグは土曜と日曜で同じチームと戦います。土曜の試合で相手のミドルの打数が多くて決定率も高かったら、同じポジションとして嫌じゃないですか。気持ちよく打たせてしまっていると思ったらムカムカします(笑)。そんな時は、日曜の試合に魂を込めて、相手ミドルの打数、決定率も下げにいく。クイックを止められた時などもテンションが上がりますね」

 嬉々として言う伊藤の表情には、せめぎ合いを続けてきた者だけが持つ気迫がにじんでいた。

 勝負では命を燃やす。そのバレー人生は晴れやかで、貪欲だ。

【伊藤麻緒が語る『ハイキュー‼』の魅力】

――『ハイキュー‼』、作品の魅力とは?

「リアルなところですね。登場人物も、現実にいそうなキャラクターばかり。陰で支えるタイプとか、感情が突出しちゃうタイプとかもいますし、読んでいるこちらの感情も忙しくなります(笑)」

――共感、学んだことは?

「烏野のツッキー(月島蛍)は同じポジションですし、共感しますね。一歩出たいけど、出られないっていうのを繰り返してしまうマインドは、自分も経験があるので。何をしていいかわからず、きっかけを誰かに求めちゃう気持ちもわかります」

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