「今は40%」でも戦えた。グラチャンに見る中田ジャパンの伸びしろ (3ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • 坂本清●撮影 photo by Sakamoto Kiyoshi

 実際に、セッターが前衛に上がり、前衛の攻撃が2枚になった時にサーブレシーブが乱れると、その弱点が露呈した。苦しい場面でトスがレフトに偏り、ブロッカーが2枚以上ついてスパイクを打ち切ることができない場面も目立った。そこで相手にブロックされたり、ワンタッチのボールを切り返され、逆にスパイクを決められたりしたことが、ジリジリと相手に引き離され、多くのセットを取り逃した原因のように思える。

 バックアタックを打てる選手がいればブロックを分散させることができるのだが、中田監督は「バックアタックは、決まらないと思ったので(大会途中まで)やりませんでした」と話した。確かに、得点源の新鍋と内瀬戸真実は共に170cm前半で、リーグでもバックアタックは打たない。ようやく4日目のアメリカ戦ではバックアタックを使った攻撃も見せたが、それについては「みなさんが、『なぜバックアタックがないんだ』というので、使いました」と冗談交じりに答えていた。

 来季に期待している選手を問われると、中田監督は「長岡望悠、井上愛里沙、黒後愛ですね」と、180cmクラスの3人を挙げた。長岡は攻撃専門のサウスポーで、黒後と井上はレセプションアタッカーだが、ふたりともバックアタックを打つこともできる。今大会を欠場した古賀も含め、課題をクリアするだけの人材は揃っている。堅い守備とスピードに"飛び道具"が加われば、世界との差はさらに縮まるだろう。

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