【女子バレー】日本、28年ぶりメダル獲得の理由とこれから

  • 松瀬学●文 Matsuse Manabu
  • photo by JMPA

3位決定戦で韓国を下し、12人のメンバーに笑顔が広がった3位決定戦で韓国を下し、12人のメンバーに笑顔が広がった ロンドン五輪でバレーボール女子の全日本が1984年ロサンゼルス五輪以来28年ぶりの銅メダルを獲得した。男子並みに大型化が進むなかにあって、平均身長175cmは断トツに低い。だが身長差をデータと団結力で補った。

 2009年に就任してから3年半。眞鍋政義監督は3位決定戦で韓国を下した直後、こう言った。

「背が低いので結束していかないと日本は勝てない。結束すれば、10の力が20にも30にもなるというのがようやく分かりました」

 最後の韓国戦の勝因は、迫田さおりを先発起用したことだった。過去のデータから、迫田は江畑幸子より、スパイク決定率、効果率(スパイクが決まった数からミスした数、ブロックされた数を引き、打数で割った数字)が「10%~20%」よかったからだ。いわゆる相性の良さだ。

 その迫田が23得点と当たった。さらに勝因は、相手のエース、キム・ヨンギョンを苛立たせることができたことにもある。これはデータ分析から、サーブを韓国のハン・ソンイに集めて崩し、キム・ヨンギョンにいいトスが上がらないようにした。サーブ、レシーブで韓国を圧倒し、流れを呼び込んだ。

 特に徹底マークを受けたエース木村沙織がスパイクではなく、サーブレシーブでがんばった。レシーブの安定があってこその、迫田の活躍である。団結力の象徴は迫田のユニフォームの二枚重ね着だった。背番号14の下に、五輪中に帰国した親友のリザーブ、石田瑞穂の背番号13も着ていた。

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