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天才少年・錦織圭のフォアハンドは「世界で通用する」 5歳年上・添田豪の本音は「正直、認めたくない気持ち」 (2ページ目)

  • 内田 暁●取材・文 text by Akatsuki Uchida

【参考にしないようにしよう】

 添田氏が拠点とした『荏原SSC』は、数々のトップ選手を輩出した日本の名門テニスクラブ。出身選手の多くは、早いリズムで、回転の少ない直線的な高速ショットを左右に打ち分ける。とりわけ添田氏は、美しいフォームから精密機械のように放つ正確無比なストロークで、早くから頭角を現した。

 ただ、世界に出れば、独特のフォームで癖球を打つ選手や、一芸に秀でたタイプもいる。また、ボールの種類か、あるいは湿度や気温などのためか、海外では「日本よりボールが軽く、飛びやすい」と感じることも多かったという。

「だからフラットで打つと、どうしてもボールが飛びすぎてしまう。やはり、スイングスピードを速くして、しっかりスピンをかけないと、コートに収まりにくいと感じていました」

 日本からアジア、そして世界へと戦いのステージを広げるたびに、対戦相手の幅も広がる。その適応に試行錯誤していたからこそ、錦織のテニスに「世界のどこでも通じる」と感じたのだった。

 添田氏が予感したように、その後、錦織は18歳でATPツアー初優勝を果たし、同年に全米オープンで世界4位のダビド・フェレール(スペイン)を破る。それら錦織の活躍に衝撃を受けながらも、添田氏はなかば意識的に「参考にしないようにしよう」と思っていたという。

「やっぱり圭は、特別でしたから」と、添田氏が当時の思いを明かす。

「18歳でツアー優勝し、トップ100に入っている。どう考えても、誰もができることではないし、実際に世界的に見ても、そんな選手はカルロス・アルカラス(スペイン)など一部のトップ選手だけ。そういう意味でも、圭は特別だと認めざるを得ないですから。

 それは人から聞く評価以上に、僕が一緒に練習したなかで感じていたことなんです。だから圭を参考にしたら、おかしなことになると思った。

 正直、認めたくない気持ちもありましたよ。でも、あそこまで断トツにすごいことをやられると、こちらも開き直れるというか、自分は自分の道を行くしかないと考えるしかないですよね」

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