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錦織圭「35歳はやっぱりこたえます」 足に抱きつく息子の姿が物語る流れた月日の長さ (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki

【スポーツドリンクと塩を取りまくった】

 序盤から長いラリーが続くも、両翼から攻める錦織がムナルの鉄壁に穴をうがつ。立ち上がりから4ゲーム連取した錦織が6-2でセット先取。第2セットもブレークアップし、勝利まで2ゲームに迫った。

 ただ、続くサービスゲームで錦織は「風もあり、ずっと取れずに苦労していた」というサイドのコートに立つ。相手を押し込み放つドロップショットも、この日はどうにも決まらない。

「彼は守備がいいし、ここが跳ねるコートということもあり、完璧なドロップを打たないと難しいと思ってしまった」

 その思いが、手もとを狂わせただろうか。このゲームを落とした錦織は、最終的に5-7で第2セットを失った。

 2セット終了時点で、すでに試合開始から2時間が経過。ファイナルセットの第3ゲーム後に、錦織はトレーナーを呼び、左ひざのマッサージを受けた。

 そしてこの時、右足の太ももに痙攣(けいれん)が走ったという。続くゲームでネット際に走った直後には、足が硬直したように動けなくなった。

「完全に、つりましたね」と、錦織が振り返る。

「左のひざをかばっていたからか、治療した瞬間、右に痙攣が出てきた。かなり久しぶりだったので、ビビリましたね。どうすればいいかを思い出しながら、なんとか対応していました」

 そこからは「スポーツドリンクと塩を取りまくった」。その甲斐あってか、数ゲーム後には痙攣もおさまり、「何とか持ちこたえられた」と言う。

 ゲームキープに苦しみながらも、ピンチの時ほど声を上げ、フォアの強打を叩き込んだ。最後のタイブレークでは、経験の差が出ただろうか。ミスが出始めた相手を突き放し、6-2、5-7、7-6で勝利をもぎ取った。

 試合から、約1時間後──。取材に応じる錦織は、さほど疲れた様子も見せず、充実の表情で試合を振り返る。

「全体的には、よかったです。反省する点としては、2セットで終われたポイントや瞬間もありました。風もあり、難しい試合ではありましたけど、納得のいく内容のテニスはできていたので、次につながる試合だったかなと思います」

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