大坂なおみが紡ぎだす魔法の言葉。なぜ人を惹きつけるのか (3ページ目)
「準優勝者のことは、誰も覚えていないように思う。覚えている人もいるだろうけれど、歴史に名が刻まれるのは、勝者だけだから」
言葉を紡ぐ口調は柔らかく、表情は穏やか。だが、その言葉には、峻烈なまでの勝者のメンタリティが宿っている。
偉業を成し遂げ、次々に歴史に名を刻んでいく大坂が目指す先は、果たしてどこだろうか?
四大大会すべてを制する"グランドスラム達成"か、あるいは、敬愛するセリーナ・ウィリアムズが獲得した23のメジャータイトル獲得か。それとも、セリーナも切望しながらまだ手が届かぬ、史上最多のメジャー24勝の大記録か......。
◆花の都パリに美女降臨。全仏OPを彩った「ファンタスティック・フォー」>>
そのセリーナに代わり、大坂にテニス界の"顔"を期待する声は、日に日に高まっている。今回の優勝会見でも、「セリーナにも勝ったことだし、もはや自分こそがテニス界の顔だと感じるのでは?」との質問が向けられた。
4つ目のグランドスラムタイトルを手にしたばかりの23歳は、即答する。
「いいえ。まったく思わない」
そう言った時の、毅然とした口調ながら、どこか寂しそうな笑みが多くを物語る。
幼少期に抱いた夢や憧憬は、今も大坂を突き動かす最大のモチベーション。永遠の憧れの人の背を追いながら、未踏の地を彼女は目指す。
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