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大坂なおみが紡ぎだす魔法の言葉。なぜ人を惹きつけるのか (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

「準優勝者のことは、誰も覚えていないように思う。覚えている人もいるだろうけれど、歴史に名が刻まれるのは、勝者だけだから」

 言葉を紡ぐ口調は柔らかく、表情は穏やか。だが、その言葉には、峻烈なまでの勝者のメンタリティが宿っている。

 偉業を成し遂げ、次々に歴史に名を刻んでいく大坂が目指す先は、果たしてどこだろうか?

 四大大会すべてを制する"グランドスラム達成"か、あるいは、敬愛するセリーナ・ウィリアムズが獲得した23のメジャータイトル獲得か。それとも、セリーナも切望しながらまだ手が届かぬ、史上最多のメジャー24勝の大記録か......。

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 そのセリーナに代わり、大坂にテニス界の"顔"を期待する声は、日に日に高まっている。今回の優勝会見でも、「セリーナにも勝ったことだし、もはや自分こそがテニス界の顔だと感じるのでは?」との質問が向けられた。

 4つ目のグランドスラムタイトルを手にしたばかりの23歳は、即答する。

「いいえ。まったく思わない」

 そう言った時の、毅然とした口調ながら、どこか寂しそうな笑みが多くを物語る。

 幼少期に抱いた夢や憧憬は、今も大坂を突き動かす最大のモチベーション。永遠の憧れの人の背を追いながら、未踏の地を彼女は目指す。

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