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錦織圭、スタイル変化に「怖さはない」。
数字で見る攻撃プレーの成果 (3ページ目)

  • 神 仁司●文 text by Ko Hitoshi
  • photo by AFP/AFLO

 今後は勝負を分ける大事な場面で、ネットプレーの成功率をさらに上げたいところだが、対戦相手によっても戦術は異なるので、臨機応変に対応しながら攻撃的なプレーをブラッシュアップさせたい。ただやみくもにネットに出るのではなく、ツアー屈指のショットメイカーと言われる錦織のテニスを活かしながら、ネットプレーの1本前のショットで70~90%ぐらい優位に立ってから、ネットプレーにつなげられると、より成功率を高められるのではないだろうか。

 11年前の2009年に1回目の右ひじ手術をした錦織が、2010年2月に復帰を果たしてから初めて戦ったグランドスラムがローランギャロスだった。繰り上げによる本戦初出場で、10年前も1回戦で5セットマッチを制した勝利だった。しかも2セットダウンからの大逆転劇だ。

「この舞台に帰って来られたのは、すごくうれしいし、楽しみでもあったんですけど、同時に、自分のテニスがツアーレベルで通用するのかという不安もありました。ひじが治って、いいテニスができるようになったら、もちろん試合の勝ち負けにこだわっていかないといけないと思います」

 当時20歳だった錦織は、素直に全仏オープンでの初勝利を喜びつつも、再びツアーレベルへ戻れるか不安視していた。現在30歳の錦織に置き換えると、ツアーレベル云々は愚問であり、トップ10レベルにカムバックできるかどうかだろう。

 もし20歳の錦織が、ケガのことがあるにせよ「今年の目標はない」と語る30歳の錦織を見たらどう思うだろうか......。焦りは禁物なのは百も承知だが、今回のローランギャロスでの勝利は自信につなげるべきであり、そろそろしっかり目標を掲げた30歳の錦織を見たいと思うに違いない。

 2回戦で錦織は、ステファノ・トラバグリア(73位、イタリア)と初めて対戦するが、自信を取り戻した錦織のプレーを見ることができるか注目したい。

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