大坂なおみ「シャイであることをやめた」。精神&肉体も成長し白星発進 (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 この時点で、実質的な勝負は決まっただろう。最後はこの日12本目のサービスエースを叩き込んで、2時間33分の熱戦に終止符を打ち、約7カ月ぶりの勝利を掴み取った。

 ツアーが完全停止していたこの期間、選手たちは誰もがそれぞれの課題や目標を掲げ、「中断前よりも強い自分でありたい」と自身と向き合ってきた。

 大坂にとってのテーマは、ひとつは「精神的に成長すること」。

「シャイであることをやめ、自分を表現することを恐れない。そうすることにより、いろんな新しい発見や出会いがあった」と彼女は言った。

 ソーシャルメディアで行なったトッププレーヤーたちへの"インタビュー"や、アメリカ全土で活性化した"ブラック・ライブズ・マター"に関わり、自らの考えを発信してきたことも、その一環。

 大会前の会見で「人間的に成長できたと思う」と明言した大坂は、試合後には「こんなふうに試合を通じて集中し、ネガティブな感情に飲まれることなくプレーできたのは、すごく久しぶり」だとも振り返った。

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 もうひとつ、大坂が試合を戦い終えて感じた自らの成長は、フィジカルやコート上での動きにあったという。

 大坂はこの6月に、ストレングス&コンディショニングコーチの中村豊氏を新たにチームに招いている。中村はマリア・シャラポワのパーソナルトレーナーを約7年に渡って務めた、この道の第一人者。その中村とともに大坂は、主に「機動性やストレッチなど、身体の動かし方」を集中的に鍛えてきたと言った。

 自らもプロテニスプレーヤーを目指していた中村は、フィジカル強化とコート上での動きを連動させることに長けている。その練習の成果を大坂は、初戦では「走りながら身体を伸ばし、バックサイドの高い位置のボールを打ち返す時に実感できた」と明言した。攻撃的姿勢を貫きながらもミスが少なかった第2セット以降のプレーは、それらトレーニングが生きた証左だろう。

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