2020.08.25

大坂なおみ「シャイであることをやめた」。
精神&肉体も成長し白星発進

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

◆「当時18歳の大坂なおみインタビュー」の記事はこちら>>>

 コートに向かう口もとには、柔らかな笑みが浮かんでいた。

 第1セットを落とすも、先にブレークし、優勢に進めていたセカンドセット。過去にコート上で見せていた、自虐的な笑いではない。試合ができることへのうれしさが、自然とあふれてきたかのような笑顔だった。

半年ぶりに実戦のコートに立った大坂なおみ その笑みの約1時間前......公式戦のコートに6カ月ぶりに立つ、彼女の表情と動きは硬かった。

 今年の3月に中断されて以来、5ヶ月ぶりに再開したテニスツアーのウェスタン&サザンオープン。

 初戦(1回戦免除のため2回戦)でカロリナ・ムホバ(チェコ)と対戦した大坂なおみは、打ち込まれる相手の強打に反応できず最初のポイントを失うと、続くポイントではダブルフォルト。相手にあっけなくブレークを許す、暗雲ただよう試合の立ち上がりだった。

「ものすごく緊張していた。思うように身体も動かず、自分への疑念だらけだった」

 試合後に大坂は、恥じらうようにそう明かす。

 ただ、そこまで緊張しながらも、そんな自分を冷静に客観視していた彼女もいたようだ。ファンの姿も声援もないスタジアムの静寂に奇妙さを覚えながらも、その状況を「自分と相手だけに集中しやすい」と前向きにとらえ、自身の心の声に耳を傾けた。

 第1セットでは「相手に走らされている」との反省点から、終盤に向けて「もっと攻撃的にいこう」と言い聞かせる。

「残念ながら、第1セットではちょっと遅かった」と振り返るが、第2セットの開始早々、前向きな姿勢はブレークとして実った。相手のムホバは、硬軟織り交ぜネットプレーも器用にこなす万能型の選手。だが、そのトリッキーな相手の揺さぶりにも、大坂は足を動かし対応した。

 かくして相手から奪い取った主導権を、彼女はより一層強く握りしめ、第3セットは出だしから疾走する。

 鋭いリターンからラリー戦を支配し、最初のゲームをブレーク。続くゲームでは、2本のブレークポイントをバックの強打でしのぐと、第3ゲームも4度のデュースを繰り返した末、粘り強くブレークに成功。