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フェデラー撃破から一転。
錦織圭は「今季最悪」のどん底から蘇るか? (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 おかしい......といえば、開幕前に撮影された大会のプロモーション動画に、次のようなものがあった。

 出場8選手たちが揃って地下鉄に乗り込み会場へ移動する様子を、ティームが動画に収める。その道中にティームは「記者みたいなことを聞いていい?」と断り、錦織に「今季のここまでのハイライトは?」と尋ねた。その問いに錦織が「開幕戦でチャレンジャーに出たこと」と答えると、仲間の選手間から一斉に、ドッと笑いが起きる。

「すごいなぁ」とティームが称賛の声をもらせば、最年少のアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)は「そうだよ! そのとおりだったよ! 信じられないな、本当に信じられないや!」と目を丸くして、感嘆の笑い声をあげた。チャレンジャーから始まったシーズンを、ツアーファイナルズで終える......。その「おかしさ」を誰より理解し評価しているのは、この場に集う選手たちだ。

 どん底から始まったシーズンが、最高の形で終わることもある。快勝の翌日に、失意の敗戦を喫することもあるだろう。

 ならば「今季最悪の日」の2日後に、会心のプレーが蘇ることもあるはずだ。それが、テニスというスポーツなのだから。

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