錦織圭が悔しすぎる準優勝。残り3大会でツアー最終戦への出場を争う (3ページ目)

  • 神 仁司●文・撮影 text&photo by Ko Hitoshi

 今後も戦いは続き、10月第2週に錦織は、グレード500の東京よりひとつ格が上のMS1000・上海大会に出場する。さらに、ATPウィーン大会、MS1000・パリ大会に出場する予定で、残り3大会でATPファイナルズの出場圏内に入れるか挑戦していく。

「目指していますけど、その中に入れなくても今年は充実した1年でした。けがから復帰して、これだけ早く戻って来られたのは、すごく自分の中でも充実感はある。でも、できれば最後の数大会で、いい結果を残して、最後に残れるようにはがんばりたい」

 こう錦織が語るように、けがから復帰当初は、最終戦出場は現実味がなかったが、今季ここまで充分にいいシーズンであるのは間違いない。もし、ATPファイナルズに出場できれば、それはちょっとしたボーナスのようなものかもしれない。

 だが、2014年から3年連続で最終戦に出場した時の錦織は、最終戦でプレーすることを当然のことにしていきたいと、彼にしては少し強気な発言をしたこともあった。今こそ、あの時の強気を思い出すべきではないだろうか。

 長年、ロジャー・フェデラー(2位、スイス)、ラファエル・ナダル(1位、スペイン)、ノバク・ジョコビッチ(3位、セルビア)は、トッププレーヤーであることの勲章を得るかのように、彼らのプライドをかけて最終戦の出場権を確保し続けて来た。

 また、過去に8位のボーダーライン付近で出場権を争った選手たちも、レギュラーシーズン最後のMS1000・パリ大会まで、押しつぶされそうな重圧の中で普段よりプレーが硬くなりながらも、最後まで死力を尽くして戦ったものだった。

 シーズン終盤に来て、錦織は、心身ともに疲労を感じ始めているかもしれないが、けがに気をつけつつ、何とか力を振り絞って、最後まであきらめずにATPファイナルズの出場権獲得へ挑んでほしい。それもまたトッププレーヤーである証しのひとつなのだから......。

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