相手も驚く動きの速さ。錦織圭が格の違いを見せジャパンOPベスト4へ (2ページ目)

  • 神 仁司●文・撮影 text&photo by Ko Hitoshi

 第1セット第6ゲームで、錦織が1回だけサービスブレークを許したものの、ファーストサーブのポイント獲得率は85%で非常に高かった。一方、チチパスのセカンドサーブでのポイント獲得率は38%と低く、錦織のリターンは好調で、「感覚がよかった。思いどおりプレーができた」と錦織が、試合全体を終始支配していた。

 さらに、チチパスは、錦織の動きの速さに目を見張り、どんなボールでも追いつき返球してくるプレッシャーを受けた。コートカバーリングや、相手にウィナーを打たせない点、相手にプレッシャーを与えるようなランニングショットなどは、ナダルに匹敵するものだと絶賛した。

「圭は、トップ5に入っていた選手ですし、すべてを知り尽くしていて、経験豊富な選手です。だから、自分のプランがあっても実行するのは難しかったです。次回、彼と戦う時は、もう少し準備を整えられたらと思います」

 チチパスは、今季ツアーレベルに定着したのが初めてで、高いレベルの連戦の中で、フィジカル面でもメンタル面でも自分のテニスを高く維持し続ける難しさを、錦織との試合の中で痛感させられ、錦織と差があることを素直に認めた。そして、錦織のようなレベルの選手と対戦を重なることによって、自分が強くなっていけるはずだとチチパスは、今後の自分の成長に期待を込める。

 今季、若い選手の台頭が続く中、その傾向はジャパンオープンでも見られていたが、28歳の錦織は、チチパスの挑戦を退けて、あらためて自分の存在感を示すことができた。

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