2018.08.27

未知のレフティとの初戦へ。
錦織圭は「好きな練習」でいい感覚を得る

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

「もう2試合くらいは、こなしたかった……」

 そのような悔いを残した、シンシナティ・マスターズ2回戦の敗戦から、10日間の時が過ぎた。全米オープン開幕の4日前に現地入りし、会場で連日、試合形式の練習に汗を流した錦織は、「いい練習ができて、感覚も戻りつつある」と、日焼けの赤みが差す頬に笑みを刻んだ。

錦織圭は全米オープンでどこまで勝ち進めるか ニューヨークは錦織に、いい思い出と、心地よい興奮を運んでくれる町だという。10年前には3回戦で第4シードのダビド・フェレール(スペイン)をフルセットの死闘の末に破り、「ひとつの大きなステップ」をこの地から踏み出した。

 世界1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)を破り、グランドスラム決勝へと躍進したのも、このニューヨーク。喧騒の町で開催される全米オープンでは、経験豊富な選手たちですら「大会に集中するのが難しい」とこぼすが、錦織は「僕は大丈夫ですね」と柔らかな笑みを浮かべる。

「ニューヨークの町は好きです、この賑やかな感じも」と明かす彼は、オフには買い物に出かけるなど、むしろリラックスした時間を過ごせるのだと言った。

 全米オープン前の北米ハードコートシリーズを3勝3敗で終えたとき、錦織は「ショットの感覚がよくない」との不安を抱えていた。「直さなくてはいけないところは増えてきている。しっかり練習したい」との言葉を残し、彼は練習拠点である、フロリダの IMGアカデミーへと向かった。

 そのフロリダの練習では、球出しなどの基礎的な内容に、多くの時間を割いたという。繰り返しボールを打つことで、再構築した自らのテニスの基礎。

 そうして会場入りしてからは、試合形式の練習が中心になる。

「もう一度、自分のなかで、いい形を作り上げたかった」と言う彼は、強い選手たちと実戦さながらの打ち合いを繰り広げるなかで、「いい感覚が戻ってきていると思う」と手応えを掴み始めた。