錦織圭は「テニスを楽しんでいるか?」と問われても、もう反発しない (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 そしてもうひとつ、このクレーコートシーズンで得た大きな収穫が、久々に5セットを戦っても手首に大きな痛みを覚えることなく、グランドスラムで4試合を戦い抜けたことだろう。今大会は試合中でも、不安やためらいを覚えることはほとんどなかったという。

 本人も予想していないほどに早く訪れた完全復活への兆しは、さらなる上昇志向の源泉となる。

「復帰当初は、いつでもいいと思っていた」というトップ10入りも、今では、1日も早くとの思いが強い。ローマ・マスターズ時には、全仏でのトップ16シードを「密かに狙っている」とも明かしていた。実際には上位16入りはならなかったが、前年からのディフェンドポイントも多かったこの時期にランキングを上げ、32シードを維持できたのは大きな意味を持つはずだ。

「まずは、トップ10に戻るのが一番です」

 このクレーコートシーズン中に錦織は、幾度かそう口にしてきた。

 彼はこれまでにも、掲げた目標はことごとく実現してきた有言実行の男である。その錦織が公言するということは、彼の視界にはトップ10がとらえられているということだろう。

 赤土で確(かく)たる足場を築いた今、ふたたび、かつていた場所を......そしてその先を目指す旅が、ここから始まる。

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