大坂なおみ、もう泣かない。全仏はメンタル安定、ウインブルドンに期待 (2ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi

 だが、第13シードのマディソン・キーズ(13位、アメリカ)と対戦した3回戦では、ことごとくキーズに先手を打たれて劣勢に立たされ、大坂はいいところなく、1-6、(7)6-7で敗れた。

 初めてシードがついたローランギャロスで、大坂は上位シードのキーズに負けたのだから、決して下を向くような結果ではない。また会見で泣かないか心配されたものの、それは杞憂だった。大坂は、さほどがっかりした表情を見せることなく試合を振り返った。

「どう説明すればいいのかわからないけど、自分にとっていい大会だったと思います。ここでの(ランキングポイントの)ディフェンドがどれぐらいかわからないけど、自分のランキングはキャリアハイです。(2年前と同じ全仏で)3回戦(進出)という結果も私にとってはいいものだと思います。自分としては、実際いいプレーができていました。

 たくさん大会があるなかで、もしある週で負けても、次の週の大会ではいいプレーができたりします。そんなことを、試合に負けながらたくさん学びました。次のトーナメントが楽しみです。それが私にとってのメインゴールです」

 1年前の大坂だったら、ネガティブなスパイラルに陥っていたかもしれないが、ツアー選手として戦う術(すべ)やメンタルを学び、結果にしろ、ランキングにしろ、自分にとってポジティブなことを探しながら、ひとつひとつ言葉にする大坂に確かな成長が見て取れた。

 さらに大会期間中、大坂はまるで自分に言い聞かせるようにして、自分の目標を口にする場面もあった。

「(今年の)オーストラリア(全豪4回戦)では、準々決勝まであと少しのところでしたが、当面はグランドスラムの準々決勝に行くことが私の目標です。私はグランドスラム1大会で7試合を戦う準備ができていますし、できると思っています。ここ(パリ)でも、できない理由はないと思っています。まだまだ先に進んでいきたいです」

 グランドスラムで優勝するには7試合を勝ち上がらなければならないが、大坂はそれをローランギャロスでもできるはずだと話した。

 こうポジティブに話せるようになった彼女の自信の裏付けとして、3月のWTAインディアンウェルズ大会でのツアー初優勝がやはり大きいのではないだろうか。

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