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大坂なおみ、20歳の親離れ。
セリーナを支えた新コーチと世界1位へ (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by Getty Images

 そして実際にバジンには、女王たちが"完璧主義"をいかに扱ってきたのかを身近に見てきた経験がある。

 セリーナとはこんな話をした。ビカ(アザレンカ)はこんな練習をした――。バジンが語る偉大なる先達たちのエピソードは、大坂が進むべき道筋を照らしていた。

「もう、相手のランキングや年齢、勝つべき相手かどうかなどは考えないようにしているの」

 カタール・オープン初戦で1歳年長のシニアコバを破ったとき、大坂は穏やかに言った。

「相手が誰だろうと、勝つために戦うことに変わりはない。余計なことを考えると、精神面に影響を及ぼすことになるから」

 確かに昨年までの彼女は、「勝てる相手」と思い挑んだ試合ほど、精神的に乱れたことがある。「だから、そこは自分でも変えるようにしているの。サーシャに言われたからではなくてね。それは、私が過去2年間にコートの上で学んだこと」。もっと成長しないとね......そう言い彼女は、照れたような笑みを浮かべた。

 テニス選手が歩むツアーの行路は果てがなく、大坂とバジンのふたりもまだ、そのとば口に立ったばかり。ましてやバジンは、大坂を「世界1位になる潜在能力の持ち主」と評し、そこに至る指標を示す心づもりなのだ。その道のりが長く、険しいものになるのは間違いない。

 それらの現実を認識したうえで、大坂は「この2ヵ月間はうまくいってると思う。勝っても負けても、ポジティブな姿勢をキープするという目標ができている」と言った。

 まだ幼さの残った10代の自分と決別することを、彼女は誓う。背筋を伸ばし、顔をあげ、自身が選んだ道を彼女は進み始めた。

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