西岡良仁が大ケガのリハビリ中に知った「テニス以外の大切なこと」
西岡良仁インタビュー@前編
マイアミオープン2回戦、西岡良仁に悲劇が襲った もし、あのとき、異なる判断をして、別の行動を取っていれば......。
後にそのように振り返る一瞬が、スポーツではフィールドやコートの上に、あるいは試合のなかで流れる時間に、いくつも散りばめられている。
テニスプレーヤーの西岡良仁にとって、それは一瞬の迷いとともに訪れた。
今年3月、マイアミオープン・マスターズの2回戦――。当時世界17位のジャック・ソック(アメリカ)相手にリードを奪った、第1セットの途中でのこと。
フォアハンドサイドに振られたショットを追うべきか、あるいはあきらめ見送るべきか......。時間にすれば、おそらくコンマ何秒の逡巡(しゅんじゅん)だったろう。ただ、その一瞬の遅れが踏み出す足を数センチ狭め、着地した瞬間に「地面に引っかかり、詰まった」ようになる。
身体が流れ、足首をひねりそうに感じた左足は、反射的に踏ん張り重力に抗(あらが)った。そのとき、西岡は「ひざが抜けるような」不思議な感覚に襲われたという。大きな痛みがあるわけではない。だが、ひざから下にうまく力が伝わらない。
「前十字じん帯裂傷」
医師からは診断結果とともに、じん帯再建手術の必要性と、「8ヵ月~1年の戦線離脱」が伝えられた。
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