杉田祐一、惜敗にも充実の夏。次なる目標は「ランキング30位前後」 (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

「出し切ったという思いが、今は大きい」

 試合後の杉田は、疲労と悔しさを隠せないながらも、いさぎよく断言した。その言葉は、この日の試合のみを指すものではないだろう。この6月の芝シーズンでは、ATPチャレンジャー(ツアー下部大会)での優勝を皮切りに、「憧れ」のフェデラーとの対戦を経て、悲願のツアータイトルを掴み取る。16試合を戦い抜いた濃密な5週間は、彼に「自分がベストなプレーをすれば、上位選手にも勝てる」という揺るぎない自信を与えていた。

 同時にこの日の敗戦は、彼が次に進むべき道をも明確に照らし出す。

「こういう試合をどう勝つのかと考えたとき、厳しいスケジュールを組んでいると、ラウンドが進むにつれてギリギリの状態になってしまう。大会数を減らせるような成績になることが、やはり一番です」

 5月~6月のクレーコートシーズンで結果を残していた杉田は、上昇気流を逃すまいとするかのように、この初夏は試合に試合を重ねてきた。その成果として足を踏み入れたトップ50の地位は、当面は彼に、望むほぼすべての大会への本戦出場権を与える。そうなれば、ある程度の獲得ポイントのめどを立てつつ、大会の数を絞っていくことが可能になるだろう。グランドスラム直前の週は大会に出ず、調整に充てることもできるはずだ。

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