錦織圭も太鼓判! マイアミ大会ベスト16の尾崎里紗に覚醒の予感 (2ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi


「今シーズンここまで里紗は、勝ちたい気持ちが強すぎて、勝つテニスにつながらなかったんです。だから体が硬くなって、ラケットを振るのを怖がっていた感じでした。勝ち負け、ボールが入るか入らないか、というのが彼女の頭に常にあるので、それをやめよう、と。それでマイアミで結果が出て、里紗もやれると思えるようになって、自信をつかんでいい方向に来ているかな」

 尾崎の最大の武器はフォアハンドストロークだが、好調時は振り切りがよくラケットヘッドが加速して、いいトップスピンがかかりボールが伸びる。だが、昨年のUS(全米)オープン予選決勝で負けた頃の尾崎は、ラケットにボールを当てるだけになり、ボールが失速していた。

 ターニングポイントとなったのは、直近のWTAインディアンウェルズ大会1回戦で負けた後、ロジャー・フェデラーや錦織圭の試合を見たことだった。彼らがボールを弾くようにしてシンプルに飛ばすのを見て、尾崎はいいイメージをつかんだのだった。

「フェデラーは、全部のボールを打ちにいっていないのがすごい印象的でした。私は、一時はもっと攻めないと、と思って崩れた時があったんですけど、そんなにしなくていいんだと思えて、ちょっと気持ち的にもラクになって無理せずにプレーを組み立てることができた」

 また、予選から本戦での尾崎の高いレベルの戦いを支えたのが、向上してきたフィジカルだ。「よくなっている実感はすごくあります」と自身も手応えを感じている。昨年末から北村珠美トレーナーに見てもらっている尾崎は、テニスに効率のよい動き方を学びながら改善を図っている。現在、目指す課題の55%をクリアできているという尾崎の体と、北村トレーナーはじっくり向き合っている。

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