なぜか苦戦になってしまう錦織圭。「もっと自分から攻めていかないと」 (2ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi


 
 錦織は試合前に、クズネツォフをこう評していた。

「まだ完成されていない選手ですけど、そんなにやりたい選手ではない。(全豪の)速いサーフェスで、フラット(無回転)でどんどん打ってくるようだと、いろいろ気をつけないといけない」

 心配は現実のものとなり、クズネツォフはフラット系のボールを駆使して、バックのダウンザラインへ果敢に打ち、錦織が苦戦する場面も多く見られた。

「あそこまでフラットに打ってくる選手は少ないので、それに対応しきれなかった。最後まで、そんなに余裕はなかったですね」

 こう振り返った錦織はファイナルセットに入って、やっとトップ10選手としての底力を見せ、ボールを早いタイミングで左右に打ち分けて、クズネツォフを走らせ、ミスを誘った。最後の重要な場面では、錦織の精神力がクズネツォフを上回り、3時間34分のロングマッチを制した。

「どんな形であれ、勝つのが一番。1回戦を長い試合でもしっかり勝てたので、自信になってくれるとは思います。これ(2回戦以降も長い試合)が続くことはなるべく避けたいですけど」

 錦織の5セットマッチでのフルセットの成績は15勝5敗となり、改めて第5セットに強いことを印象づけた。

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