ロディック、ヒンギスが語る「錦織圭がグランドスラム制覇する条件」 (4ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi


 ヒンギスが語るように、錦織が向上していかなければならない点があるのは間違いない。彼女は、錦織のバックハンドを指摘したが、やはり最後は錦織の最大の武器であるフォアハンドストロークに、さらに磨きをかけることがグランドスラムタイトルを引き寄せるのではないだろうか。現在の錦織のフォアは洗練された分、若い時のフォアのように相手をねじ伏せるような荒々しい迫力は薄れた。マリーやジョコビッチに勝つには、そんな荒々しいフォアが再び必要だと思われる。もちろんそれを成し遂げるためのフィジカルも重要だ。

「これから経験を積んでいけば、グランドスラム優勝のチャンスも見えてくると思う。やっぱり、まずはマスターズ(1000)での優勝だったり、もっともっと経験を重ねていかないと、そんなに簡単に取れるものではないので。でも、いつかは取れるように頑張ります」

 グランドスラムへの思いをはせる錦織を、ロディックは「確実に道を歩んでいる途中だ」と評する。そして、経験上グランドスラムならではの難しさを指摘する。

「グランドスラムで難しいのは2週間を通して、7回いい試合を続けなければならないことです。錦織自身もプロセスが大切だということを話していると思いますが、グランドスラムはプロセスを踏んでいっても、それでも簡単ではないタイトルだと思います。

 もし簡単だったら、グランドスラム優勝者がもっとあふれるはずですからね。ただ、錦織がやっているやり方は、非常に正しいものであり、毎年上達している。そういったことを踏まえると、たとえどんな結果になったとしても、自分を振り返る時に、正しいことをやってきたんだと断言できるようなプロセスを踏んでいるのではないでしょうか」

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