ラオニッチ×マッケンロー、ウインブルドンで化学反応が起きるか

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi

 2016年ウインブルドン1回戦で、第6シードのミロシュ・ラオニッチ(7位、カナダ)は、27本のサービスエースを放ち、7-6(4)、6-2、6-4とストレートで勝利した。ラオニッチにとっては、かつての名選手であるジョン・マッケンロー(アメリカ)をコーチに招聘して、初めて臨むグランドスラム大会となる。ラオニッチ新体制は、テニスの聖地でもいいスタートを切った。

ラオニッチとコーチのマッケンロー。ウインブルドンはどこまで勝ち進むかラオニッチとコーチのマッケンロー。ウインブルドンはどこまで勝ち進むか

 「彼はおそらく、僕が知る中で、最もエネルギッシュな57歳だ」とラオニッチが評するマッケンローは、1980年代前半に、他の追随を許さない繊細なボレータッチと、左利きのサーブ&ボレーで、世界の頂点を極めた天才的なプレーヤーだった。また、審判に暴言を吐く態度から悪童と呼ばれ、「You can't be serious!(ふざけるな!)」とのセリフは、マッケンローの代名詞といわれた。

 マッケンローはグランドスラムで7回優勝して一時代を築いたが、特にウインブルドンでは、1980年から84年まで5年連続で決勝に進出し、81、83、84年と3回の優勝を果たすなど、グラス(天然芝)コートで抜群の強さを見せた。

「いろいろと多くのことをトライしている」といつも何かを試そうとするラオニッチは、さらに自分の実力を大きく向上させるために、6月のグラスシーズン前、マッケンローに自分のチームへ加わってくれないかと要請した。

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