【テニス】ツアー初優勝を遂げた日比野菜緒ってどんな子? (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki   photo by AFLO

「そうか。フェデラーのようにうまくショットを組み立てれば、そんなにラインギリギリを狙わなくてもウイナーが取れるんだ……」

 男子2位のロジャー・フェデラー(スイス)や、18歳ながら優れた戦略性で女子13位まで駆け上がっているベリンダ・ベンチッチ(スイス)など、それら男女選手たちのプレーを分析しつつ、自分に足りないものと向き合った。

「ストロークは、良いものを持っている」

 それが、コーチ陣や関係者たちが日比野について語るとき、共通して口にする言葉である。日比野本人も以前はその武器を自覚しつつ、常に強打をライン際に打ち込むことを目指してきた。しかし今年の春先ごろ、日比野は「強気のプレー」の裏に潜む、自分の弱さに目を向ける。

「攻めて負けたら、仕方ない」。強打にこだわるその姿勢を、実は敗因の隠れ蓑(みの)にも使っていた。その事実を受け入れたとき、何度も聞かされてきたコーチからのアドバイスも、それまでと異なる次元で身体の隅々まで染みわたるようになった。

「いいショットが打てるのは、当たり前。それをどう使っていけるかをコーチと話し合い、理解してコートで出せるようになっている」

 今回の優勝の要因を、日比野はそう分析した。

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