2015.02.24

フロリダ在住、大坂なおみ。全米OP覇者を倒した17歳

  • 内田暁●構成 text by Uchida Akatsuki   photo by Getty Images

2月特集 2015年躍動するホープたち(9)

 2014年7月28日――。アメリカ・カリフォルニア州の著名な大学街、スタンフォード発信の衝撃的なニュースがテニスファンや関係者たちの間を駆け抜けた。2011年の全米オープンチャンピオンにして、当時世界ランキング19位のサマンサ・ストーサー(オーストラリア)が、無名の16歳に敗れたというのである。 スコアは4−6、7−6、7−5の大接戦。しかも、第2セットはマッチポイントを手にし、第3セットでも先にブレークし先行しながらの敗戦だった。

ハイチ出身のアメリカ人を父に持つ大阪生まれの大坂なおみ 16歳の勝者の名は、大坂なおみ。国籍は日本。彼女にとって、ストーサーとの一戦はWTAツアーのデビュー戦であった。当時世界ランキング406位の大坂は、スタンフォード大会(バンク・オブ・ウェスト・クラシック)の予選に出場すると、元トップ50のペトラ・マルティッチ(クロアチア)らを破って本戦へ。そして迎えた自身初のツアー本戦初戦では、3年前の全米オープンで世界1位のセリーナ・ウィリアムズ(アメリカ)を下して優勝したベテランのストーサーと相まみえたのである。

 失うモノのない強み……と言ってしまえば、それまでかもしれない。だが、そのようなメンタルの持ち様で差を埋めるには、14歳の年齢差(すなわち経験の差/ストーサーは当時30歳)と、387位のランキングの開きは、あまりに大きい。それでもコートに足を踏み入れた時、大坂の身体を満たした想いはひたすらに、「勝つぞ、勝つぞ、勝つぞ!」であった。さらには驚くべきことに、この16歳はファンを味方につける秘策までも胸に抱いていたという。