【テニス】クルム伊達、全仏敗退も五輪への思いは消えず。「最後の望みをかけて戦う」 (2ページ目)

  • 神 仁司●取材・文 text by Ko Hitoshi
  • photo by Ko Hitoshi

「公子は、本当に素晴らしい選手です。勝ち負けは大した問題ではないのです。たぶんクレーでは、私の方によりチャンスがあったのでしょう。彼女と試合することができて、本当に光栄でした」

 苦手のクレーシーズンを終えた76位のクルム伊達は、左足太もも内てん筋に不安を抱えているが、この後、全仏のダブルスが終わり次第、イギリスへ移動して、ツアー下部のノッティンガム大会に出場予定だ。

「クレーから芝に変わり、寒い天候や、でこぼこのコートなど、環境の変化にどこまで順応できるかわかりませんが、とにかく最後までやってみたい」

 思うような結果が出せない時でも、「テニスが楽しい」と言い続けているクルム伊達は、「オリンピックイヤーには、グランドスラムが5つあるという意識でいる」という。わずかに可能性が残っているロンドン五輪出場(ランキング56位前後になることが目安)を目指して、最後の望みをかけた戦いが続く。


 一方、森田あゆみ(84位)は、レッドクレーを得意とするポロナ・ヘルツォグ(39位)に、3-6、6-4、6-3で逆転勝ちを収め、2年連続で初戦を突破。第1セットを落としたものの、第2セット以降は「ファーストサーブの確率を上げることを心がけた」といい、勝利への活路を見出した。さらに、相手の弱点を冷静に見きわめる洞察力も光った。

 森田はこれで、2回戦で第2シードのマリア・シャラポワに挑戦する権利を得た。

「大きな舞台で、トップの選手とやるのは楽しみです。相手の雰囲気に飲まれないようにしたい。自分のできることを精一杯やって、ベストを尽くします」

 クルム伊達を目標に、この先の日本テニス界を背負っていくはずの22歳の森田が、木曜日の大一番でそのポテンシャルをどこまで発揮できるか、注目したい。

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る