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ラグビー日本代表「怪物」今村雄太の現在 ベンチプレス100kgを挙げた少年は40歳でバリ移住を決意した (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji

【平尾誠二の思いも背負って初優勝】

 社会人としては大学卒業後の2007年、平尾誠二総監督に誘われて神戸製鋼を選んだ。社会人2年目からはプロ選手として契約し、深紅のジャージーの中心プレーヤーとして活躍する。

 ただ、神戸製鋼は2003年を最後に優勝から遠ざかっていた。今村は「どうしたら優勝できるのだろう......」と悩み、2016年に他界した平尾氏と最後に会った時も「俺のいる間に優勝してくれ」と言われ、優勝への思いはますます募っていった。

 しかし2018年、今村はケガの影響もあって2試合しか出場できなかったが、15シーズンぶりにトップリーグを制することができた。

「試合に出ているメンバーも、そうでないメンバーも、同じ方向を向くことができていました」

 ひとつの目標を叶えた今村は2019年、12年間在籍した神戸製鋼を離れる。当時34歳で一線から身を引く選択もあったが、「まだ選手として続けていきたい。チャレンジしたい」と現役を続行。その後3シーズン、宗像サニックスブルースでプレーし続け、最後はチーム休部とともにユニフォームを脱いだ。

 引退後は「どんな形であれラグビーに携わって、ラグビーに恩返ししたい」と語っていたとおり、指導者に転身。サニックスブルースが活動していた福岡県宗像市を中心に、子どもたちに向けてラグビー指導・普及を続けていた。

 そして2025年、思わぬ報が飛び込む。今村は家族でインドネシアのバリ島への移住を決めた。理由は実にシンプル。「挑戦する姿を見せたい」。40歳になった今村雄太は、妻と3人の娘とともに新たなチャレンジを始めている。

著者プロフィール

  • 斉藤健仁

    斉藤健仁 (さいとう・けんじ)

    スポーツライター。 1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。2000年からラグビーとサッカーを中心に取材・執筆。ラグビーW杯は2003年から5回連続取材中。主な著書に『ラグビー『観戦力』が高まる』『世界のサッカーエンブレム完全解読ブック』など多数。

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