ラグビー日本代表「怪物」今村雄太の現在 ベンチプレス100kgを挙げた少年は40歳でバリ移住を決意した (2ページ目)
【早稲田大で最強BK陣を形成】
高校からラグビーを始めたにもかかわらず、今村は「花園」こと全国高校ラグビー大会に高校1年から3年連続で出場を果たす。高校3年時にはシード校の仙台育英(宮城)を下し、3回戦にも進出した。
「今までこんな子、見たことないですね。絶対に将来のジャパンですよ」
高校時代の恩師・下村大介監督が語るとおり、今村のポテンシャルは日本ラグビー協会の目にすぐ止まり、高校3年時には「ジャパンエリートアカデミー」の一期生に選ばれた。その時のメンバーはFB五郎丸歩(佐賀工高)やWTB山田章仁(小倉高)など、高校ラグビーを沸かせた錚々たるメンツだ。
もちろん、大学関係者も今村を放っておくわけがない。早稲田大の清宮克幸監督もその能力に惹かれ、スポーツ推薦でラグビー部に引き入れた。
高校時代の今村は、当時の目標をこう語っていた。
「目標は大学日本一です。その後は日本代表になって、ワールドカップに出場して、いずれは海外にもチャレンジできれば......」
早稲田大に進学した今村は1年生ながら「13番」を獲得し、2年時と3年時は大学選手権2連覇に大きく貢献。今村、五郎丸、SH矢富勇毅を軸とする早稲田大BK陣は「スターバックス」と呼ばれ、2006年2月の日本選手権2回戦ではトヨタ自動車ヴェルブリッツに28-24で勝利し、大学チームが18年ぶりに社会人チームを下す歴史的快挙も成し遂げた。
日本代表で初めてキャップを獲得したのも、ちょうどこの時期。ジョン・カーワンHCからも実力が認められ、2007年・2011年と2度のワールドカップ出場を果たしている。
今村のテストマッチで特に印象に残っているのは、2007年大会のウェールズ戦だ。前半18分、自陣ゴールライン5メートルでターンオーバーすると、今村が得意のランでボールを運び、相手を引きつけたのちに美しいラストパスを放って遠藤幸佑のトライを演出した。試合は18-72で敗れたが、ワールドカップで日本代表が見せた歴代屈指のトライシーンと言えるだろう。
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