男子ラガーマンにナメられないように。桑井亜乃は選手時代と変わらぬトレーニングで五輪史上初の偉業を目指す (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 そして、選手の時に見えなかったものが見え始めてきました。ラグビーを違う方向から見られるようになったので、さらに面白くなってきましたね。

 たとえばルールひとつにしても、今は自分がジャッジするので、よりルールブックを読まないといけないですし、選手時代より試合を細かく見る機会も増えました。レフェリーも選手の時と同様に、毎試合レビューをします。今はテレビでの解説もやらせてもらっていますが、レフェリーだからこそできるなと実感しています」

---- 選手時代の経験はレフェリーになってプラスになっていますか?

「プラスしかないです! レフェリーは1試合で2キロくらい走るのですが、体力も含めてその感覚的なものは活きてきますね。最近まで選手だったので、自分の強みはスピードだと思っています。だからその強みを活かすためにも、今もアルカス熊谷の選手たちと一緒にトレーニングさせてもらっています。

 レフェリーは女子の試合だけでなく、男子の試合も当然吹くことがあります。だから男子選手にナメられないように、相手が失礼な態度をとりそうな時は目で圧力をかけたりしています(笑)。

 一方、レフェリーになって変わったことは、日焼け止めをつけるようになりましたね! 現役時代は陸上をやっていた時から日焼け予防をほぼしていなくて肌も真っ黒だったんですけど、海外のレフェリーは男女ともしっかり日焼け止めを塗っているので、私もマネて日焼け予防するようになりました(笑)。

---- 次の目標は、サクラセブンズと同じ「2024年パリ五輪出場」でしょうか?

「はい。おかげさまで世界を転戦する国際大会『ワールドシリーズ』にはアシスタントレフェリーとして、ヨーロッパチャンピオンシップにはレフェリーとして参加させていただきました。パフォーマンスを見せられる場は限られているので、呼ばれたらしっかり力を発揮したいですね。国内ではどんなにいいレフェリングをしても(国際的な審査員には)見てもらえないので、世界にどんどん出ていきたい。そのために英語が上達するように頑張っています!」

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る