ラグビー日本代表はスコットランドに惜敗でリーチは「満足感はまったくない」。それでも「チームは成長できた」収穫と課題

  • 松瀬学●文 text by Matsuse Manabu
  • photo by AFP/アフロ

スコットランド代表に20-29で惜敗したラグビー日本代表スコットランド代表に20-29で惜敗したラグビー日本代表 日本代表が『誇り』と『自分たちのラグビー』を取り戻した。日本(世界ランキング10位)が英国・エディンバラでスコットランド(同7位)と対戦し、20-29で敗れた。欧州遠征を1勝2敗で終え、2023年ラグビーワールドカップ(W杯)に向けた収穫と課題が見えた。

 20日。敵地のマレーフィールド競技場は満員6万7千人の観客で埋まった。試合後、あたたかい拍手を受けながら、日本代表フランカー(FL)のピーター・ラブスカフニ主将は言った。右目あたりが腫れ、言葉には充実感があふれている。

「とても楽しんでプレーができた。我々のチームを誇りに思います」

 その後のオンライン会見。前主将のフランカーのリーチ・マイケルは「満足感はまったくないです」と漆黒のひげ面の顔をゆがめた。

「ただ、アイルランド戦から振り返ると、チームは成長できました。自分たちのラグビーをすることができました」

 自分たちのラグビーとは? ボールをスピーディーに動かし、相手にプレッシャーをかけ続けるスタイルである。そのためには、まずはスクラム、ラインアウトでボールを確保し、ブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)で優位に立たなければいけない。とくにボールキャリア(ボールを持っている人)が強く前に出なければいけない。

 遠征初戦のアイルランドとの敗戦(●5-60)では、それらができなかった。でも、この日は、練習での準備段階から自分たちのラグビーに徹することを意識してきた。『コネクト』である。判断、サポート、結束、展開だ。マイボールのスクラム(4本)、ラインアウト(6本)はすべてボールを生かした。

 ラブスカフニも、リーチも、そしてナンバー8の姫野和樹も、よくからだを張った。猛タックル、突進......。試合開始直後、スコットランド選手は余裕の表情だった。薄い笑いもあった。だが、時間経過とともにその笑顔が消えた。

 司令塔のスタンドオフ(SO)、松田力也はこう、振り返った。

「ボールを持ち続けて相手にプレッシャーをかけ続ける日本のスタイルを意識してプレーしました。自分たちの(攻撃の)プレーの時はいいラグビーができたのかなと思います」

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