2021.01.03

早大が12月の敗戦後から変化。帝京大戦はコミュニケーションと精度を深めた

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu
  • 齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 BATTLE(バトル)、この早大の今季のチームスローガンの実践だった。ラグビーの全国大学選手権準決勝(東京・秩父宮ラグビー場)。昨季の大学王者が、フィジカルの強い帝京大に真っ向勝負を挑み、33-27で競り勝った。

帝京大戦で2トライを挙げた早稲田大の河瀬諒介帝京大戦で2トライを挙げた早稲田大の河瀬諒介  みな、体を張った。満身創痍。終盤、足を痛めて途中交代した主将の丸尾崇真が試合後、言葉に充実感を漂わせた。

「(足は)大丈夫です。我慢強く、激しくやり続けることを意識していた。相手の強いフィジカルプレーに負けたくなかった。勝ててほんと、うれしいです」

 早大は、早明戦(昨年12月6日)で明大に敗れて変わった。とくに「コミュニケーション」と「精度」である。その象徴が結束のラインアウトからのモールだった。

 前半6分。帝京大ゴールラインまで10mほどの右側ラインアウトだ。まずスローワーのHO(フッカー)宮武海人が定規で計ったかのごとき、正確な山なりのボールを列の後方に投じた。これをドンピシャでNo.8(ナンバーエイト)の丸尾主将がキャッチ。地面に降りた瞬間にはもう、両サイドで丸尾を持ち上げたPR(プロップ)久保優らのリフターが体を密着させていた。周りも即座に寄り、アカクロのジャージが隙間のない塊となった。

 傍目にはこの瞬間、"トライまで行けるな"と映った。早大FWはボールをモールの後ろに送り、HO宮武がキープした。腰の位置が、先発FWの平均で5kgほど重い帝京大FWよりコブシ1つは低い。ここから互いに声を掛け合いながら、矢じりの形となって、左、右、まっすぐと微妙に角度を変えながら押し込んでいった。バックス勢も加わった。

 最後は右中間になだれ込み、宮武がインゴールでボールを押さえた。同24分にも、右ラインアウトの列の中央部分の丸尾主将に合わせ、結束して、ドライビングモールを押し込んでいった。今度は左、左とずらし、まっすぐ。最後は同じく宮武。

 2つとも簡単に相手のゴールラインを割った印象を与えるが、FWの押す方向、結束、技術がなければ、トライまではいかない。