明大FWのプライドが炸裂。意地のスクラム選択で早大に雪辱を果たす (4ページ目)

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • 齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 例年だと、この時期、試合に出られない4年生のモチベーションはどうしても落ちがちとなる。だが、今年度はちがうのだ。メンバー外の4年生でも誰ひとり、試合出場をあきらめてはいない。一昨日のスクラム練習ではレギュラー組がメンバー外のBチームに押されてしまうことも。

 井上の言葉に実感がこもる。

「ぼくは練習中に(メンバー外の)4年生のがんばりを見ていたら、涙が出てくるんです」

 ああ、ここに信頼がある。4年生同士の信頼が。こういう大学のチームは強い。1カ月前の明大と比べ、この日のチームには一体感、我慢強さがあった。とくにディフェンス。

 早大の度重なるFWとバックスが一体となった連続攻撃をしぶとく止めていった。倒れてもすぐに選手は起き上がる。タックルの点が束となり、ディフェンス網を形成していた。互いの信頼感の基は個々の責任感の強さでもある。

 最後も堅守で粘り、こぼれたボールを福田主将がタッチに蹴り出した。奇しくも、対抗戦のスコアと同じながら、勝者と敗者が逆になった。福田が小さく笑った。

「試合中、(トライ奪取直後にトライを奪われ)メイジっぽいといえばメイジっぽいところかもしれません。でも、スクラムもきっちり修正できました。不安はなく、最後までディフェンスが機能していました。粘れたことが勝因になったんじゃないでしょうか」

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