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【ラグビー】後がなかったサンウルブズ、2019年につながる歴史的1勝 (2ページ目)

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu  齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 これ以上みっともない試合をすれば、ファンは逃げていく。もう後がない。そんな危機感を抱いての23日のジャガーズ戦だった。相手も今季から初参戦したとはいえ、昨年のワールドカップ(W杯)でベスト4入りしたアルゼンチン代表を12人も含んでいた。いわばアルゼンチン代表。

 サンウルブズは「サン(太陽)」と「ウルフ(狼)」を意味する。まさに崖っぷちに追い詰められたオオカミ軍団はプライドをかけて、体を張った。激しく前に出た。一番の勝因はスクラムである。個々のひたむきなプレーである。15人の団結である。

 戦略も当たった。その象徴的なシーンが終了直前の勝利を決定づけるトライである。敵陣ゴール前5mのスクラムだった。がちっと安定したスクラムから生きたボールを左に出す。スタンドオフ(SO)のトゥシ・ピシが内側(右側)に一度、フェイントをかけて走り、タックルを受けながら外側(左側)のセンター立川理道に浮かした。

 立川は「ピシがボールを持っていくというのが雰囲気で分かっていました」と述懐する。ボールをもらうと、鋭利極まるランでインゴールにダイビングトライした
 
「やっと勝てたこと。それも最後にトライができて、喜びも爆発できたというのが正直なところです」

 実は、この最後の一連のプレーはそのひとつ前のプレーの逆パターンだった。直前のスクラムからのライン展開ではSOピシが内側にボールを返し、ウイング笹倉康誉が大幅ゲインしていた。表と裏。相手との駆け引き。試合を通し、SOピシのゲームコントロールは絶妙だった。

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