香港に快勝。ラグビー日本代表、W杯に向けて「1%」成長 (3ページ目)

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu
  • 築田 純●写真 photo by Tsukida Jun

 もちろん反省も多々、ある。ボールを持っている選手が倒された時、2人目の寄せが遅れたため、「ノットリリースザボール」(ボールを離さない)の反則を再三取られた。相手に与えたPK(ペナルティーキック)20個は多過ぎる。

 またスクラムでも、相手の弱さゆえか、つい前に出てフリーキックの反則を何度か取られた。W杯でスクラムを組んだ時、相手が下がることなんてまずなかろうが、何らかの修正は必要だった。

 選手たちにとっては、まさに「試練」の時期であろう。すべてがW杯のためだから、この大会のために、特に調整することはない。約1週間前にW杯会場のイングランド視察から帰国し、宮崎では時差ボケ頭でハードトレーニングを積んだ。試合2日前にも朝6時からウエイトトレーニングを始め、午前中には1時間、グラウンドでガンガン走り込んだ。

 チームを引っ張る「リーダーズグループ」のひとり、29歳のフルバック五郎丸歩は「今日は暑かった。宮崎はメチャ、寒かったから」と苦笑いを浮かべた。

「南アはセットピース(スクラム、ラインアウト)も強いし、ディフェンスも強い。南アに勝つためには、まだまだでしょう。個人スキルも、フィットネスも足りないし…。全部、足りないでしょ」

 この試合での「(エディー監督の言う)日本のプラス1%は何でしょう?」と聞けば、主将代理の29歳、プロップ畠山健介は「韓国戦より、ワールドカップを意識して、チームがしっかりオーガナイズされていたこと。各ポジションが自分の役割を認識できていたということで1%前進でしょうか。でも、まだ課題も多い」と漏らした。

 W杯が目標だからだろう、だれもが勝利に浮かれていない。あくまでチームは発展途上。一歩、一歩。1%、1%。再び宮崎に移動し、世界一タフな鍛錬がつづく。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る