釜石市が開催地に立候補。2019年ラグビーW杯のいま (2ページ目)

  • 松瀬 学●取材・文・写真 text&photo by Manabu Matsuse

 過疎化が進む、人口約3万7千人の被災地が世界のメガ・イベントを開催できるのか。いまだ仮設住宅に住む人々への配慮は大丈夫なのか。開催基準となる1万5000人収容のスタジアムはどうするのか。交通機関は? チーム、観戦客の宿泊施設は? 釜石にとって、いわば壮大なるチャレンジである。でも課題をひとつひとつクリアして、野田武則市長は重い腰を上げた。釜石市教育委員会の釜石市スポーツ推進課ワールドカップ誘致推進室の増田久士さん(元釜石SW事務局長)が説明する。

「こんな震災にあった小さな町が、全国と勝負できること自体が、釜石にとっては貴重な機会なのです。(W杯開催の)条件をぜんぶクリアできる見通しが立って、市民のみんなが協力してくれるところまできたから、(市長が)手を上げた。やっと誘致に向けたスタートが切れたということです」

 懸案のスタジアムは、津波で被災した鵜住居(うのすまい)小学校などの跡地に建設。多くを仮設スタンドとし、開催基準を満たすスタジアムをつくる。将来、建設予定の高速道路で交通問題がある程度解消され、チームや観戦客の宿舎もなんとか対応できる見通しが立ちそうだ。難題の財源確保は、岩手県や日本スポーツ振興センターなどの協力を得たいとしている。

 市民の機運を盛り上げるため、随時、釜石誘致応援タウンミーティングが開かれてきた。10日は「ラグビーと男女共同参画の推進」をテーマとし、日本ラグビー協会の稲沢裕子理事が講師を務めた。「開催地になるかどうかはわかりませんが」と前置きし、稲沢理事は期待した。

釜石誘致タウンミーティング。熱心に耳を傾けていた釜石誘致タウンミーティング。熱心に耳を傾けていた「ワールドカップで釜石から何かを発信してほしいなというのはありますね」

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