【パリオリンピック閉幕】男子バレー、バスケ、卓球...開催国フランスの強さを後押しした「熱気」の正体 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【会場は異様な盛り上がりに】

「アレー・ル・ブルー」(行け、フランス)

 フランスの応援大合唱で選手を叱咤し、足を踏み鳴らしてスタンドは揺れ続け、会場は異様な空気になっていた。フランスは地力もあるが、実力以上のプレーを見せた。とにかく、サーブで攻めた。それによって、自慢のブロックも機能。主導権を握って1セット目をものにすると、2セット目も逆転勝利。1点が決まるごとの盛り上がりが違っており、勢いを得ていた。

 東京五輪のMVPであるイアルバン・ヌガペトは巨体だが、ステップは軽やかで下半身が強く、軌道を予知できるようだった。サーブはパワフルで際どく、スパイクサーブ、ジャンプローターのハイブリッドで幻惑。「そこにいる」というレシーブを見せた後、セッターのトスを打ち込んだ。破格の空間認識力で、髙橋藍のような背面ショットも決めた。サッカーのフランスの英雄、カリム・ベンゼマとも重なり、「世界」の匂いがする選手はジャンルを超えて美しい。

 フランスは3-0で勝ちきった。勝利の直前、会場は何かをこの世に生み出しそうなほど、熱を発していた。

 フランス人は「おフランス」と皮肉られ、スノッブな様子が嫌悪されることもしばしばである。ビストロの食事はお皿から盛り付けまでお洒落で、味も唸らせるが、ワインやデザートまでつけたらひとり1万2000円前後になり、日本のようにおいしくて安いものはない。ラテンの血か、騒ぐのは好きで、その感情が一体になる瞬間は、さすが革命を起こした国だった。

 多くの移民で成り立っているのは、その社会性のおかげもあるだろう。筆者はホテルで朝食をとるたび部屋番号を伝えていたが、数字をフランス語で伝えるだけで近しくなった。「ボンジュール」や「メルシー」や「アビエントー」(じゃあね)は、発音がへたでも、ことあるごとに使っていると、返してくれる人が多く、人と関わることが嫌いではない人たちなのだとわかる。さもなければ、多様な人種社会は作れない。

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