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「アジア人なんかに負けるか」ラクロスの元日本代表・山田幸代が語る競技人生 オーストラリアのトライアウトでは「パスがもらえなくなったりもしました」 (2ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Nagatsuka Kaz

【『答え』が増え『形』になっていくのが魅力】

――それほどまでの強豪校でバスケットボールをしていた山田さんがラクロスを始めたのは、どういった経緯だったのですか?

「高校のバスケット部は365日のうち360日練習するくらい厳しい環境だったので、学ぶという点ではその3年間はとても濃かったのです。ただ、バスケは嫌いじゃないけどこの先(高校卒業後)もやりたいかと言われると、もっと違うことをやってみたい、スポーツじゃない何かをやってみたい、花の大学生をやってみたいという思いが強かったのです。

 それで、大学にバスケットの推薦で行く話も断って、バスケット部のない京都産業大(現在は女子チームはある)に進学したのです。

 ところが、大学入学後にたまたまバスケットの滋賀県国体代表候補として選ばれたのですが、ほかの候補選手たちはみんな、朝に自分で練習してから夜のチーム練習に臨んでいたんですね。それを聞いて、私も体力を戻さなきゃいけないと思っていた時に、ゼミの友だちがスティックを持っていて、ラクロスを知らなかったので『それ、何?』と。

 その友だちが『ラクロスは朝しか練習をしてないんだよ』と言うので『体力づくりに行っていい?』というところがスタートでした。そうしたらラクロス、めちゃくちゃおもしろくて。それまでいろんなスポーツをやってきましたが、スティックという道具だけで完結してしまう部分が新鮮でした。そこからラクロスにハマっていきました」

――ラクロスの魅力はどういったところにあると思われますか?

「魅力は大きく分けてふたつあると思っています。ひとつは"フィールド最速の格闘球技"と呼ばれるスポーツであるように、スピーディかつ激しさがあること。その上でポジションごとに求められる特徴が異なり、私みたいに足が遅くても反応が速ければ生きるポジションがあります。

 もうひとつが、『形』がないことだと思います。大半の選手が大学から始めるスポーツで、何かをやっても『これはやってもOKなんだ』とか『こうしたほうがいいんだ、修正してみよう』とった具合に結果が見えるのがすごく早くて、自分たちで答えを作っていけるスポーツなのです。

 今はまだまだマイナーだからこそ、何かひとつの『答え』が大正解じゃなく、『答え』のそれぞれが正解というか。これだよ、という確かなストラテジー(戦術)みたいなものがあるわけでもなくて、自分たちがやればやるだけ『答え』が増えいてく、形がないものを形にしていくところが面白さです」

――これだ、という戦術がないというお話でしたが、チーム競技としての魅力はどこでしょうか?

「戦術的にはサッカーの要素も取り入れられるし、バスケットの要素も取り入れられるところです。ラクロスではゴールの裏も使えるため選手たちの視野の角度が変わるので、攻め方的に非常に面白いなと思います。そのゴール裏からの戦略を立てるという思考がラクロスにはあって、ディフェンス側からすれば自分の見えないところから人が入ってくるのをいかに守るかといった駆け引きをするところは魅力です」

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