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平野美宇か伊藤美誠か? 混戦の女子卓球パリ五輪選考争い サバイバル最終局面のカギは? (2ページ目)

  • 井本佳孝 取材・文 text byImoto Yoshitaka
  • photo by 千葉 格/アフロ

【平野がまさかの敗戦で差は大きく広がらず】

 伊藤がエントリーせず、早田とともにシングルスに出場した平野にとって、今回のアジア大会はライバル伊藤を引き離す絶好のチャンスとなった。

 平野は、東京五輪時に石川佳純と繰り広げた出場権を巡るデッドヒートの経験を挙げながら、「自分は挑戦者として(新たに)向かっていく立場」と、ここまでは選考レースを強く意識することがない姿が印象的だった。しかし今大会前には、「(伊藤との)差をどれだけ離せるかがカギ」と語り、「絶対にシングルスに出たい」と明言するなど、悲願の五輪シングルスの出場権獲得に向けて覚悟を持って挑んだ。

 シングルス前に行なわれた団体戦では中国との決勝に勝ち進み、そこで平野は東京五輪金メダリストの陳夢(チェンムン)相手に敗れたものの、フルゲームの激闘を演じた。シングルスに向けて調子を上げてきた......かに思えた。

 しかし、シングルス初戦は順当にストレート勝ちを収めたものの、ベスト16での戦いとなった北朝鮮のピョン・ソンギョン相手にまさかの大苦戦。第1ゲームを奪われると、第3ゲームも10-12と接戦を落とすなど"伏兵"とも呼べる相手に、終始ペースを握られる展開になった。

 その後、立て直すことができずに2-4で落とし、まさかの3回戦敗退。順当に勝ち進んだ場合、準々決勝で対戦する予定だった孫穎莎との対戦も幻に終わり、今大会での選考ポイント加算は10点。「どれだけ離せるかがカギ」と語っていた伊藤との差は「20.5」に広がったのみで、平野は依然として2位の座が安泰とは言えない状況だ。黄金世代の2人によるデッドヒートは今後の大会でも続くことになる。
 
 そうして早田、平野、伊藤と黄金世代の争いが注目を集めるパリ五輪選考争いだが、今回のアジア大会で大きなインパクトを残したのが、男子のエース・張本智和の妹である張本美和だ。

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