NFLのトレンドは「トリプレッツ」。パス偏重の時代は終わった (3ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

 ところが、移籍を希望するゴードンは練習に参加しておらず(本稿執筆時点)、開幕から欠場する可能性もある。ただ、この3人が無事に出揃えば、1994年シーズン以来(当時はサンディエゴ・チャージャーズ)のスーパーボウル進出も見えてくるだろう。

 一方、1990年代に黄金期を極めたダラス・カウボーイズは現在、他のチームとは異なるバランスのトリプレッツ(QBダク・プレスコット、RBエゼキエル・エリオット、WRアマリ・クーパー)を構築している。というのも、セインツやチーフスはブリーズやマホームズといったQBが中心であるのに対し、カウボーイズの中心を担うのはRBのエリオットだ。

 圧倒的なパワーでラインの穴を突いてグラウンドを駆け抜けるエリオットは、リーグでトップ3の実力を誇るラッシャーだ。その豪快なスタイルは、1980年代~1990年代のRBを彷彿とさせる。近年のカウボーイズはポストシーズンで弱さを見せていたが、今シーズンはいかに。

 そして最後に、クリーブランド・ブラウンズの名前も挙げておきたい。

 ブラウンズは間違いなく、21世紀以降のリーグ最弱球団だ。直近でプレーオフに進出したシーズンは2002年。それ以前だと、1994年までさかのぼらなければならない。2017年にはシーズン0勝16敗という不名誉な記録も残している。

 そんな万年弱小チームだが、今シーズンは思いのほか周囲の期待度が高い。それは、魅力的なトリプレッツが成長してきたからだ。

 2018年ドラフトの全体1番目指名で入団したQBベイカー・メイフィールドと、同年2巡目全体35位のRBニック・チャズの活躍によって、昨シーズンのブラウンズは7勝8敗の好成績を残せた。そして今オフ、大物WRオデル・ベッカム・ジュニアをトレードで獲得。突出したパス捕球能力を持つベッカム・ジュニアの加入により、ブラウンズはついに強力なトリプレッツを完成させた。

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