2019.02.01

男子ハンドボール日本代表、世界選手権7戦全敗。でも、光が見えた

  • 田口有史●取材・文・撮影 text & photo by Taguchi Yukihito

 そんな日本の奮闘に会場はスタンディングオベーションに包まれ、後半の戦いに向かう選手たちを、入退場口に集った観客たちがハイファイブで送り出した。大きな力を得た後半は、開始7分までに12-16と一気に逆転を許したものの、再びディフェンスに集中。オフェンスでもコート幅をいっぱいに使う攻撃が効果を発揮して得点を重ねていった。

 観客たちは、ユーロ王者に必死に食い下がる日本選手たちを"ジャパンコール"で後押し。たびたびファインセーブを見せるゴールキーパーの甲斐昭人に対してもコールが巻き起こるなど、完全にホームゲームと化した。試合には22-26と惜敗したが、マン・オブ・ザ・マッチに選ばれたのは甲斐。日本選手たちの充実した表情と、負けた試合後のようなスペインの選手たちの表情が、両チームが得た手応えの差を物語っていた。

選手たちに指示を出すシングルドソン監督 続く第4戦の相手は、昨年の欧州遠征での強化試合で25-42と大敗を喫した、シグルドソン監督の母国であるアイスランド。08年北京五輪で銀メダルを獲得するなど、「ハンドボールが国技」と言われるほどの強豪だ。

 そのアイスランドに対して、試合開始直後からペナルティスローを外したり、2分間の退場者を出したりとリズムに乗ることができず、10分を過ぎた時点で3-6。しかし、今の日本はその悪い流れを引きずらない。

 ディフェンスを立て直して失点を抑え始めると、東江のゲームメイクを中心に攻撃にリズムが生まれて1度は逆転。1点ビハインドで前半を終えた。後半10分にキャプテンの信太弘樹が不運なレッドカードで退場したところから5分間で3点差をつけられたが、堅守からの速攻などで後半23分には再び1点差に詰め寄った。

「残り7分で逆転か」というムードになったものの、相手ゴールキーパーのファインセーブもあり、連続得点で突き放され21-25で敗戦。それでも、相手に何度も流れを持っていかれそうになりながら、自分たちの時間を取り戻す強さ、終盤まで拮抗した試合を展開できるようになった日本の成長は、スコアが示すとおりである。

「成長している実感はあるんです。あとは勝利がほしい」

 シングルドソン体制になってから、元のライトウィングだけでなくバックプレーヤーとしても活躍している渡部仁は、大会期間中にしきりと「勝利」に対するこだわりを口にしていた。