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バスケ男子日本代表「比江島慎の後継者」は誰? 富永啓生に突きつけられた「vs世界の強豪」という壁 (4ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka

【ホーバスHCがSGに求めるもの】

 そのほかでは、代表候補に選ばれたこともある23歳の脇真大(琉球ゴールデンキングス)も興味深い。脇のドリブルは、縦に割ってリングへ向かう速さがあるわけではない。しかし、特有のステップと間の取り方で、するするとリング近くに侵入してレイアップシュートを決める不思議な力がある。独特のフットワークでリングに近づいていく「比江島ステップ」のようだ。

 ただ、3P重視のバスケットボールを展開するホ―バスHCは、SGの選手に「長距離砲であること」を求める。昨シーズンまでBリーグで4年連続(通算6度)して3P成功率40%超えを記録し、2023年ワールドカップでは57.1%という驚異的な3P成功率をマークした比江島の存在感はあまりに際立つ。

 昨年11月に行なわれたアジアカップ予選の2試合。西田は68.4%(19本中13本成功)と高い確率で3Pを決めたが、7月の強化試合やアジアカップカップ本番では調子をかなり落としてしまった。8月10日のグアム戦では少し挽回(7本中3本)したものの、安定感という点ではまだ不安を残している。また、湧川や脇も3Pは苦手な部類で、比江島の域にはほど遠い。

 このように見渡してみると、選手としてのタイプは違えども、比江島のあとを引き継ぐ正SGは、やはり富永だろうか。体躯やドリブルが秀でているわけではないものの、3Pという突出した武器があるため、それを囮(おとり)にして中へ切れ込んだり、パスを通すこともできる。

 グアム戦の前半終了直前、富樫勇樹(千葉ジェッツ)のドライブインからパスを受けたジョシュ・ホーキンソン(サンロッカーズ渋谷)がコーナーから3Pをねじ込んだ。この時、富樫と交差する形で中から外に移動した富永は囮となって、ふたりのグアムの選手を引きつけていた。

「自分がボールをもらえなくても、何人か引きつけることができたら、ほかの選手が空くことになる。そういうドロープレーに自分の『重力』を使ってもらえるのは、ありがたいことです」

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