バスケ男子日本代表「比江島慎の後継者」は誰? 富永啓生に突きつけられた「vs世界の強豪」という壁 (3ページ目)
【富永以外のシューター候補は?】
しかし、比江島のような実力者を探し求めるのは容易ではない。ドリブル、シュート、パスと、独特なリズムから見せる技量はいずれも高い。シュートだけ、あるいはドリブルだけ......というならばともかく、いずれも高いレベルを兼ね備えた選手はいない。
チームが求めるスタイルは多種多様でも、SGに求められるのはもっぱら得点力だ。とりわけ現代バスケットボールにおいて、3Pの力量は切っても切り離せない。その意味では今回のアジアカップで、富永がふんだんに3Pを放ちながらリズムをつかみ、確率よくネットを揺らしていることは吉報である。
ただ、パリ五輪での苦い思い出も蘇る。平均出場時間はわずか2.6分にとどまり、3Pを1本も決められなかった富永のプレーを覚えている者も多いはずだ。「vs世界の強豪」という視座で考えた場合、サイズやフィジカルで少し課題の残る富永が今度どれだけ乗り越えてこられるかは、注視すべき点となってくる。
富永以外のシューターを考えるならば、西田優大(シーホース三河)が「比江島の後釜」として近いところにいるだろう。西田も比江島と同様にオールラウンドな技量に恵まれ、2023年のワールドカップでは「第3のポイントガード」という意味合いも込めての選出となった。
パリ五輪ではメンバーに選ばれなかったが、その悔しさをばねに選手としてひと回り大きくなり、人間としても深みを増した。西田は比江島や富永よりも確実にディフェンスがよく、ホ―バスHCとしても計算を立てやすい存在だ。
そしてもうひとり、今後の伸びしろも含めて楽しみな存在なのは、21歳の湧川颯斗(三遠ネオフェニックス)だ。福岡大学附属大濠高校を卒業後、大学に進まずにBリーグ入りした194cmの長身ガードは、ホーバスHCも「マコ(比江島)のようで面白い」と才能を認めている。
若さゆえに粗も目立つため、今回のアジアカップには呼ばれなかった。しかし今大会、リングに向かってドリブルでのアタックが足りていない課題が見えた日本代表を鑑みると、ドライブインの強い湧川への期待は高まる。
3 / 5