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三菱商事勤務、3x3を経て32歳でWリーグデビュー インカレMVP・桂葵はなぜ異例のバスケ人生を歩んできたのか (3ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka

【3x3の経験が5人制につながっている実感はない】

――ZOOSを日独合同のチームにしたのは、なぜなのでしょうか。

「最初は日本人だけで作ろうと思いましたが、世界のレベルで戦うとなればWリーグの選手を巻き込みたいと考え、日本バスケットボール協会に相談はしに行ったんですけど、限られた時間軸のなかでスピーディに対応、協力は難しそうだと。それでFIBA(国際バスケットボール連盟)に相談をすると、当時、世界ランク1位だったドイツの協会がきっと興味を持つよということで、紹介をしてくれたんです」

――ZOOSは2022年のワールドツアーでは世界ランク5位となり、2023年シーズンにはバクー大会で初優勝をするなど、成果を挙げられました。桂選手はトヨタ自動車で5人制バスケに戻られていますが、3人制を経験したことは今につながっていると感じますか。

「つながっている感じは正直、そんなにないです。やっぱり10年のブランクというディスアドバンテージも感じます。ただ、学生の時はもうちょっと感覚でプレーをしていて、そんなに綿密にいろいろ考えてとかではなかったんですけど、3x3では、戦術理解にエネルギーを使っていたので、10年ぶりに5人制に復帰してみて、だいぶ毛色の違う選手になっているんじゃないかと思います」

――学業にも秀でていたという桂選手が、ご自身を「感覚派」だったというのが意外です。

「そうですね。学生時代は監督の言っていることを理解するのは得意でしたけど、コートの上で起きていることをちゃんと把握しながらやっていたわけではなかったと思います。バスケット、詳しくないんです⋯⋯(苦笑)」

第2回につづく

●Profile
桂葵(かつら・あおい)/1992年9月2日生まれ、東京都出身。身長182cm。小学生時代からバスケを始め、桜花学園高、早稲田大時代は全国トップレベルで活躍したが、大学卒業を機に競技生活に区切りをつけ、三菱商事に就職。社業に専念にしていたが、3年のブランクを経て3x3(スリーエックススリー/3人制バスケ)の選手として競技に復帰すると、2022年には3x3チーム運営やコミュニティ運営を中心に展開する「ZOOS」を設立し、自身はZOOS代表兼選手としてプレーする一方、今シーズンからWリーグ・トヨタ自動車アンテロープスに加入。10年ぶりに5人制バスケットで奮闘している。

著者プロフィール

  • 永塚和志

    永塚和志 (ながつか・かずし)

    スポーツライター。前英字紙ジャパンタイムズスポーツ記者。Bリーグ、男女日本代表を主にカバーし、2006年世界選手権、2019W杯等国際大会、また米NCAAトーナメントも取材。他競技ではWBCやNFLスーパーボウル等の国際大会の取材経験もある。著書に「''近代フットボールの父'' チャック・ミルズが紡いだ糸」(ベースボール・マガジン社)があり、東京五輪で日本女子バスケ代表を銀メダルに導いたトム・ホーバスHC著「ウイニングメンタリティー コーチングとは信じること」、川崎ブレイブサンダース・篠山竜青選手 著「日々、努力。」(ともにベースボール・マガジン社)等の取材構成にも関わっている。

【フォト集】女子バスケ・桂葵 Wリーグ32歳のルーキー

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