Wリーグ32歳のルーキー・桂葵が10年ぶりに5人制バスケに戻ってきた理由「シンさんが『トヨタ、どうかな?』と」 (2ページ目)
【チームが勝つために役に立ちたい】
――興味深いです。
「10年間、まともにトレーニングもしてこなかったし、5人制のブランクもあるし、(トヨタ自動車のチームメートの)山本麻衣や安間志織が積み上げてきた強靭な肉体、繊細な筋肉たちは一朝一夕には身につかない。例えば麻衣ちゃんとか志織に『伸びしろだね』って言う人って、少ないと思うんですよ。
なので、こうやってトップのカテゴリーに身をおいてバスケットを仕事にしている以上は、伸びしろがあるなら埋めていきたい気持ちがあって、それを考えた時に、Wリーグでチャレンジをしたら何か見えてくるのかな、伸びしろもちょっと埋まるかなって思ったんです」
――年長者が年下に教えを請うというのは、一般的には恥ずかしくてなかなかできないことかもしれません。桂選手はいかがですか?
「もう全然、恥ずかしくないです。なるべく早くコーチ陣や麻衣ちゃんが見ている世界を見たい。解像度を早く上げていきたいというのはあるので、まだまだですけど、最近ようやく、スタートラインに立てたかな、と。最初の1カ月半、2カ月くらいはチームルールも私が大学までやっていたものとは違ったので、もはやサッカーのフォーメーションを覚えているような感覚でした。
なので、全部が新しくて、別競技ですね。10年ぶりにやってますというより、新しい競技にチャレンジしている。3人制に出会った時と、もしかしたら同じような感覚かもしれないです」
第3回につづく
●Profile
桂葵(かつら・あおい)/1992年9月2日生まれ、東京都出身。身長182cm。小学生時代からバスケを始め、桜花学園高、早稲田大時代は全国トップレベルで活躍したが、大学卒業を機に競技生活に区切りをつけ、三菱商事に就職。社業に専念にしていたが、3年のブランクを経て3x3(スリーエックススリー/3人制バスケ)の選手として競技に復帰すると、2022年には3x3チーム運営やコミュニティ運営を中心に展開する「ZOOS」を設立し、自身はZOOS代表兼選手としてプレーする一方、今シーズンからWリーグ・トヨタ自動車アンテロープスに加入。10年ぶりに5人制バスケットで奮闘している。
著者プロフィール
永塚和志 (ながつか・かずし)
スポーツライター。前英字紙ジャパンタイムズスポーツ記者。
Bリーグ、男女日本代表を主にカバーし、2006年世界選手権、 2019W杯等国際大会、また米NCAAトーナメントも取材。 他競技ではWBCやNFLスーパーボウル等の国際大会の取材経験 もある。著書に「''近代フットボールの父'' チャック・ミルズが紡いだ糸」(ベースボール・マガジン社) があり、東京五輪で日本女子バスケ代表を銀メダルに導いたトム・ ホーバスHC著「ウイニングメンタリティー コーチングとは信じること」、川崎ブレイブサンダース・ 篠山竜青選手 著「日々、努力。」(ともにベースボール・マガジン社) 等の取材構成にも関わっている。
【フォト集】女子バスケ・桂葵 Wリーグ32歳のルーキー
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