たった5人でウインターカップに挑む和歌山南陵バスケ部 身長205センチの留学生がまさかの...... (2ページ目)
アブバカは身長205センチのセンターで、攻守の大黒柱だ。インサイドに強いだけでなく、ドライブで切り込むスピードや3ポイントシュートを放つ器用さも兼ね備えるオールラウンダー。アブバカを欠き、しかも残された選手全員がフルタイム出場しなければならない。その厳しさを誰もが痛感していた。
実際に試合を戦ってみて、二宮はこんな実感を語っている。
「6人だと1人はまだ休めるのでラクでしたけど、5人になると想像以上にきつかったです。今のところケガ人はいませんが、多少の痛みは我慢してやるしかないんで。みんなでカバーし合ってやるしかないです」
【763万4000円の支援金】
これまで何度も逆境を乗り越えてきた。
学校の経営難もあり、入学当初に14人いた同期生は6人まで減った。寮生活は過酷を極め、食事が菓子パン1個になった日もあれば、料金未納のためガスが止まった日もあった。トイレの天井から大量の水が漏れ、傘を差して用を足さなければならない時期もあった。そんな苦しい日々を過ごしてきた二宮であっても、ウインターカップを前にこんな弱音が口をついた。
「バスケをするためにこの学校に来たので、ある程度のことは我慢できたんです。でも、ここにきて5人で戦うっていうのは......一番しんどいですね」
アブバカを欠いても「走らないバスケ」をすることは変わらない。ただし、ヘッドコーチの和中は細部で戦術が変わることを示唆する。
「ゴール下の仕事は酒井(珀/178センチ)や紺野(翔太/181センチ)にやってもらいます。また、今までなら必ず足を止めるようなところでも、子どもたちの判断で走れるところは走ることになると思います」
高校生活最後にして、最大の逆境。それでも、和歌山南陵バスケ部には勝利をあきらめない理由がある。今年の5月にバスケ部員の保護者を中心に支援金を募るクラウドファンディングを展開。和歌山南陵の実態が広く報道された影響もあって、目標金額の80万円を大きく上回る763万4000円が集まった。
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